少年期[247]仕方がない

「・・・・・・なんだこの状況は」


目が覚めたゼルートの両サイドにはやわらかい二つの果実が押し付けられていた。

その果実が誰の物なのかは直ぐに理解した為、多少自身の状況に困惑はしたものの驚きはしない。


しかしアレナとルウナに抱き枕の様に拘束されているゼルートは動ける状態ではなかった。


「そういえば昨日は三人で川の字に寝たんだったな。直ぐに寝たから自分がこんな羨まな状況になってるなんて全く分からなかったよ」


顔に押し付けられているやわらかい果実。頭の上から聞こえる二人の寝息。二人の股に挟まれている両手。

自身の状況を理解したゼルートの心拍数は一気に加速した。


そしてゼルートの息子は両側から漂って来る甘い匂いも興奮する要素として相乗され、とても元気な状態になってしまっている。


「いや、まぁ・・・・・・あれだよな。生理現象というか、健全な男として当然の結果だよな」


自分の息子が元気になってしまった事は状況を考えれば仕方ない事だと思い、本来ならば外に出て日課の訓練を行うのだが、二人を起こさずにテントの外へ出るのは無理だと判断して二度寝をする。


そして一時間後、ゼルートは二度寝した後に目を覚ましたアレナに起こされ、からかいを含む笑みで自身の息子の大きさを褒められた。




朝食の準備が整い、食事を開始してからカネルは少し頬が赤くなっているゼルートに気付き、何かあったのか尋ねる。


「ゼルート殿、頬が少々赤いですが何かありましたか」


「いや、特に何もなかった・・・・・・ですよ」


寝ている二人にやましい事をした訳では無い、ただ生理現象で元気になってしまったのだが、はっきりと断言できずに答えるのに間が出来てしまう。


そんな様子のゼルートを見てソブルは昨日の険しい表情とは違ったので、別件で頬が少し赤くなっていると分かり、理由が大体予想出来た。


(・・・・・・昨日卒業したって訳では無さそうだな。でも、何かしら刺激的なイベントでもあったのかもしれないな)


初心な表情をしているゼルートに過去の自分を重ねながらソブルは小さく笑う。


そして隣で嘲笑を食べているセフィーレは口の中の物を飲み込んでからゼルートに一つ質問する。


「ゼルート・・・・・・昨日、私達がテントに入ってから何かあったのか?」


セフィーレもソブル同様にゼルートが後方を険しい表情で気にしていたのに気づいており、今と機能とでは表情が違うので自分達がテントに入った後に問題は解決したという結論に至った。


その問いに対して先日は三人にそれらしい会話を聞かれたくなかったのでソブルからの質問をはぐらかしたが、今はもうはぐらかす必要が無いため正直に答えた。


「大した事じゃないですよ。ただ・・・・・・バカな奴らを消しただけなんで」


倒した・・・・・・では無く消した。つまり殺した同じだと分かった五人は特に驚く事は無かった。

自分達に害を及ぼそうとした奴らに、ゼルートがチャンスを与える必要はなく、殺そうと思うだけの理由があったんだろうと納得する。


「そうか。また助けられてしまったみたいだな」


「それが俺達の仕事なんであまり気にせず、ボス戦の事を考えていてください。自分の予想が正しかったらセフィーレさんとの相性は良くないので」


ゼルート自身も自分の予想が正しかった場合に、どうすればボスに有効打を与えられるのかを考えているが、中々良い案が思いついていない。


「そうだな・・・・・・ボスの部屋に辿り着くまでに何か手を考えないとな」


ソブル達四人もセフィーレからゼルートが予測したボスの魔物を聞いているため、自分達も何か出来る事は無いかと考え始め、食事の手が止まってしまい重い空気になってしまう。

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