少年期[236]放たれた大きな個と集による球体

三体のヒポグリフの口から風の魔力が放出されて一か所に集まる。


その様子を見たラルはニヤリと笑いながら自身も口に雷の魔力を集める。


三体から放出された風の魔力は直径四メートルの球体となり、消費魔力だけなら高位の魔法レベルほど使われていた。

風の球体化が大きくなるにつれ、ラルも雷の球体を大きくしていく。

二体が技を完成させるまで、球体に使われている魔力の量に怯んで遠距離攻撃は仕掛けられないでいた。


そして一体と三体は同時に風と雷の球体を放った。


放たれた二つの球体の速さはと力は同等、丁度お互いの中間距離でぶつかり合う。


高密度の属性魔力がぶつかり合った結果、ダンジョン内に大きな爆裂音が鳴り響く。


三体にとっては殆どの魔力を注ぎ込んだ一撃。

ラルにとっても球体に込めた魔力の量は決して少ない物ではなかった。


お互いの技がぶつかり合った瞬間、ラルはその場から即座に飛び出す。

二つの球体がぶつかり合った事で直接的なダメージは無いが、激突した事で発生する衝撃波がぶつかっても影響がないかといえば、そうでもない。

少なくとも向かって来る衝撃波に対して飛行する対象には少なからず影響を与える。


しかしラルはそれを物ともせず、衝撃波を突き抜けて三体のヒポグリフの頭部に攻撃の標準を合わせ、右前脚に雷の魔力を纏った。


躊躇なく標的に突撃するラルに対し、三体のヒポグリフは地面に叩き付けられた事で頭がぐらぐらになっているのにも関わらず一か所に集まり、持っている魔力を殆ど注ぎ込んで風の球体・・・・・・砲弾を放った為、避けなければという意識はあっても体が言う事を聞かなかった。


雷の爪が横薙ぎに振られる。


放たれた三つの雷閃はヒポグリフの頭部と翼、足を斬り裂いた。


頭部が半分無くなり、足も半分になった三体のヒポグリフは力なく地面に倒れ伏す。

自身が放った攻撃によりヒポグリフの魔石を斬り裂く事無く終わったラルは、ホッと一息ついてから直ぐにまだ残っている魔物の方へ首を向けた。


魔物達は変わらず遠距離攻撃を仕掛けてくるが、どれも決定打に欠ける・・・・・・いや、それどころの話ではないので、自身に当たってもノーダメージで終わる。


しかし今のラルの後ろには主であるセルートの護衛対象であるセフィーレ達がいる。

なので翼を力強く、でも翼を振り切らない程度に扇ぐ。


弓や岩や石での投擲は勿論の事だが、魔法を放っていた魔物達も魔力が少なくなり威力が下がってきているためあっさりと翼から繰り出される風圧でかき消される。


それから圧倒的なまでの狩りと言える状況。


翼の先が、竜尾が、爪が、牙が、雷球が、雷の膜が魔物を斬り裂いて砕いて、焦がして簡単に命を奪っていく。


これ以上楽しめる魔物は数体を残していないと判断したラルの攻撃に手加減は無い。

殆どが一撃で潰されていった。


そしてラルが狩りを続けて行き、最後に三体の魔物が残った。


レイスが二体にアイアンゴーレムが一体。


(アイアンゴーレムはともかく・・・・・・レイスは少し面倒ですね)


基本的に物理攻撃が効かない霊体の魔物。魔法も魔石を潰さない限り当たったとしても削れた部分は魔力を消費して再生する。


先程からラルの攻撃が、魔法が数度当たるが完全に消えておらず魔力を消費して元の姿に戻り、まるでラルをバカにするかのようにニヤニヤと笑いながら宙を漂っている。


(はぁ~~・・・・・・普通の属性魔法なら魔力が尽きず、魔石を潰さない限り意味がないかもしれませんが、今まで見た事が無いのか、自分の弱点を知らないみたいですね)


ラルの口先に雷の魔力・・・・・・だけでなく、もう一つの魔力が集まる。

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