少年期[226]高ぶる闘志
リザードマンナイトの炎を纏った剣は・・・・・・ゼルートに触れる事は無かった。
それどころか、ゼルートがアイテムリングの中から取り出した武器にすら当たることが無かった。
ゼルートが取り出した剣の刃が、リザードマンナイトの脳天を横から突き刺した。
「シャ・・・・・・ア、アア・・・・・・」
「まぁ、あれだ。お前は結構強かったよ。でも相手が悪かったって奴だな。というかもう死んでるから聞こえてないか。しっかし・・・・・・これ、不意打ちには結構使えるんだな」
ゼルートはリザードマンナイトに止めを刺した武器、ショテルを見ながら呟く。
ショテルは刃が湾曲しているため、リザードマンナイトの剣が刃にぶつかる事は無かった。
「最初は実戦では使うことが無い思ってたけど、てか今でも実践の中で使いこなせる自信は無いけど、不意打ちには有効的ってのが分かっただけで収穫があったな」
ゼルートは湾曲した刃を見ながら、ショテルの性能を評価する。
そしてショテルをアイテムリングの中に戻すと、リザードマンナイトの死体とエレメントブーストの回収を行う。
「このリザードマンナイトの死体は魔石も含めて色々使えそうだな。ただ・・・・・・エレメントブーストの方はちょっとな。俺が使うと戦いがつまんなくなりそうだ。どこかの国と戦争ってなった時は乱戦の中で使っても良いかもしれないけど、そもそも戦争なんてそう簡単に起こらないしな。正直使う場面があまりないか」
性能はそこそこ良いのだが、ただでさえ幼いころから限界量を上げ続け、魔力量がバカみたいにあるゼルートが使えば戦いがつまらなくなるのが目に見えていたので、どうしようか悩んでいた。
「そうだな・・・・・・どうせなら今度実家に帰った時に父さんに渡すか。その方が、もし戦争になった時に父さんが魔力切れで死ぬなんて事は無くなりそうだし」
最終的には自分の父親に渡す事にした。やはり家族にはどこか過保護なゼルートだった。
「そんで、ルウナとラルの方はどうなったかな・・・・・・ルウナの方はそろそろ終わったみたいだな。まぁ、実力的にBランクの冒険者と変わらないか、無傷なのは当たり前か。ラルの方は絶賛お楽しみ中の様だな。そんじゃ、俺は残りの残党の処理でもするか」
ゼルートは人差し指から野球ボール程の大きさの魔力を生み出し、操りながら魔物の脳や心臓を貫き始める。
「ふふふ、こんな乱戦はこの前のオークとゴブリンの群れの討伐時以来だな」
獰猛な笑みを浮かべているルウナの爪は、キラーンと光っていた。
明らかに格下であるはずの魔物、ゴブリンやコボルト、オークにホーンラビットの上位種が躊躇なく自分に襲い掛かろうとしているを見て、ルウナのテンションはますます上がる。
「明らかに格下の魔物だが、こうも勢いよく襲い掛かって来るのは感心するな。いや、ゼルート曰くダンジョンの中だからだったか? まぁ、どちらでも良い。楽しめる事には変わりないんだからな」
向かってくる魔物に対して、拳に蹴り、肘に膝を止まることなくぶちかましていく。
身体強化のスキルや、魔力による身体能力の向上は使っていないが、素の力を抑えずに使っているのでルウナの攻撃が魔物に当たる度に、当たった部分が爆散していた。
そんな快進撃が止まらない中でルウナが浮かべている笑みは、返り血のせいもあって小さな子供が見れば泣き出しそうな顔になっている。
「ふん。甘いぞ!!!」
コボルトの上位種の攻撃を受け止めたルウナは、腕をつかんで一回転して群れの中に投げつけた。
そしてボーリングのピンの様に魔物達は倒れて行っく。
「さぁ、どんどんかかって来い!!!!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます