最終話~エピローグ~

 未来から帰還した後、私は、ある人に匿ってもらう事になった。


 その人は、どこか仰々しい言葉遣いをする……ちょっと変な人で。

 けれど私の事を、本当に大切に扱ってくれてる。


 他の人たちには高圧的な雰囲気を出してるけど、その実、意外と優しい。


 周りの人は畏怖してるようにコードネームで呼ぶけれど。

 私だけは、名前で呼ぶ事にしてる。


『いつもありがとうございます──春日さん』


 結理君にも、春見ちゃんにも……桃矢君にも今は会えないけれど。

 きっといつか、会いに行ってみせる。


 それが私の、最初の”プラン”。


 大人の私は、些細な事プロパティは”プラン”の邪魔と捨てたけど。

 未熟な私は、どんな小さな事だって取り零したくない。


 奏さんはそれを”美しさ”だと言ったけど、そうじゃないと私は思う。


 あの頃は気付けなかった、小さくて大きな幸せ。それが日常の幸せだって思うから。

 大人の私はあの時、それを捨てる覚悟すらあったから、力技を使った。


 だから、私はこの日記にこう書く事にする。

 私の”プラン”が、大切な皆との日常に繋がっていく事を信じて。



 『プラン>プロパティ』──それは、絆を意味する言葉。



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