The last of the buffet party(最後の立食パーティー)

最後のパーティー

                 終章


   ワシントン州 ワシントン大学 二〇一五年六月二九日 午後六時〇〇分

 香澄たちが【ルティア計画】を解決してから、特に何事のなく平穏な日々が過ぎていく。特に無事ワシントン大学の卒業式を迎えることが出来たジェニファーは、一段と嬉しそうだ。

 しかしフローラが顧問を務める心理学サークルでは、在籍する部員が問題を起こしてしまった問題について、彼女にも一定の責任は免れない。フローラは“誠に遺憾ですが……とある事情により、今年の七月を持って心理学サークルは終了となります”と語る。事の真相を知っている香澄とジェニファーは納得するが、何の事情も知らないエリノア・レイブン兄弟は納得がいかない様子。

「みんなが怒るのも無理ありませんね。ですがシンシアとモニカが抜けてしまい、部員もごく少数です。……これではサークルの存続が難しいということで、この度苦渋の決断を取ることにしました」

 だが本当のことを部員たちへ告げれば、大パニックになるのは関の山。そこでフローラは部員が少ないという事実を利用し、その場しのぎの嘘をでっちあげる。


 だがここでいきなりサークルを解散するのは、いくらなんでも理不尽。そう考えたフローラは、部員たちへある提案を持ちかける。

「そこで顧問を務める私からのお詫びという意味を込めて……フロリダ州の近くにある私の別荘で、最後のパーティーを開きます。予定日は七月六日~七日です。なお今回はこちら側の一方的な都合ということで、交通費や宿泊費などはすべて私が負担します」

「えぇ、それ本当ですか!?」

「嬉しい。心理学サークル最後の楽しい思い出が、また出来るんですね!?」

 基本的に費用がかからないという言葉を聞いた途端、これまで落ち込み気味だった部員たちの顔にも笑みがこぼれる。

気持ちが舞い上がっている部員たちへ、フローラは補足説明を付け加える。

「それからもう一つ――当日は私の友人が二名同伴することになっておりますが、詳細は別途お伝えします。ですがみなさんはいつも通り、楽しく旅行を堪能してください」


 そんなフローラの緊急連絡が終わると同時に、ワシントン大学内における最後の心理学サークルの集会が終わる。……果たして当日参加する予定のフローラの友人とは、一体誰なのだろうか?

 なお香澄とジェニファーについては、当日一緒に行動するフローラの友人の正体について知っている模様。事前にフローラ本人の口から伝えられていたようで、彼女の提案を快く承諾する香澄とジェニファー。

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