彼者誰2

…ここはどこだろう…


あぁ、そうか。ここは1番最初の家だ。


一生懸命頭を下げている父と母が目の前にいる。


嫌な思い出だ。

ここはしっかりと覚えているのだから。


「お願いします!この絵だけは…どうか、どうか!」


「この絵以外ならなんでも持って行ってもらって構わないので!」


そう、この夢はまだ父と母が生きていて私が6歳ぐらいだった頃。


忘れられない。


父と母が泣き叫んだ日。

あんなに温厚だった父も、物静かな母もあれほど、感情を出したことがあっただろうか。


それほど、2人にとっては大切な絵だったのだ。


お人好しな父と母は、度々友人にお金関係のことで頼られたり、保証人にまでなっていた。


その結果がこれだ。

騙されて、借金まで負わされて。


挙句の果てには、一番大事にしていた絵画まで手放さなければいけないことになった。


絵画を売ってからも、借金はまだまだ残っており、家計は火の車だった。


小学校ではいじめられたりもした。

貧乏が故に、貧乏なだけで。


なんで…なんで?

なんでこんな目に…

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