私の裁判歴 【差押え】
突然 スーツの男達が ゴッソリ現れた
堅苦しい身なりと表情 ホッソリした体格から ヤクザではなさそうだ
いきなり正体不明で 焦ったが
裁判所から派遣された執行官だという
差押え“される側”の関係者として 私は たまたま その場に居た
差押え“される側”の人(被告)は たまたま不在
いや たまたまじゃないな 意図して不在だったんだろうよ
この人(被告)が ヤクザに関する話を しょっちゅうしてたんで
ヤクザが現れたのかと思って焦ったぜ なんだ 執行官か...
執行官っ!?
被告が 月イチペースでワザワザ裁判所へ通うのが 面倒臭いと 愚痴ってたから
裁判中なのは知ってたけど 差押えにまで 話が進んでるとは...
(今 思ったけど 本人訴訟でやってたのかな?)
被告に連絡を取ったけど 連絡付かず
執行官に その旨伝えたが 執行官も同じ状況だと言う
だろうよ...
詳しい事情が分からないんで
立ち入らせる事は出来ないと 頭と身体を張って
いっしょうけんめいゴネてみたが
執行官も強情で コッチの都合なんぞ お構いなし (そりゃそーだ)
執行官達は おのおの メモったり 写真撮ったり
差押え用(差押え予定)の注意書きみたいな張り紙ベタベタ貼り付けて 去った
その張り紙は 剥がしちゃダメだった 剥がすと違法って書いてある
被告が戻って来た
笑いながら 張り紙の上に
そのへんに転がってたポスターやカレンダーを貼ってた
曰く 上貼り行為は 違法じゃない とのこと
この人 こーゆーの 相当 慣れてるな...
後日 被告からお誘いがあったので 強制執行を見物しに行った
その場所は もぬけの空になっていた
いっ いつの間に?
そうとは知らない執行官(執行官は経験上 予想してたかもしれない)と
そうとは知らない原告
一杯喰わされた表情と様子をツマミに
被告は 大笑いしながら その場を眺めていた
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます