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「ねーねー、すかい、いたいのはどこにとんでいくの?」
「んー、お空の上だよ」
「おそらのうえ?」
「そう、神様が奈々子の代わりに痛みを受け取ってくれるんだってさ」
シスターが昔に言っていた。それじゃぁ神様は痛くないのって、良く訊いたものだ。そうしたら、
「神様は痛いのをごっくんしてくれるから大丈夫なんだってさ」
今思うと何だそれって感じだけど、自分以外の誰かに痛みが移るくらいなら、神様に飲み込んでもらった方が良い気がしないこともない。
「わぁ、かみさまってすごいね!!」
「あぁ、神様は凄いぞ。だから奈々子が悪い子になったらちゃーんと空から見ているんだからな」
だから悪いことはしちゃダメ、なんてのも良く言われた。お天道様が見ている、というのは多分どの世界でも同じなんだろう。
「ななちゃんわるいこじゃないもん」
「そうだな、転んでも泣かなかったしな、いい子だな」
「うふふ!」
もう転んだことすら忘れたような奈々子を連れてかどわき青果店へ向かう。丁度買い出しの果物もあったし。
小さな手と自然に繋いでしまうのは、もう長くこうやって歩いているからだろう。ある意味、血は繋がってないけどおじさんみたいなところあるし。もちろんお兄さんだなんて贅沢は言わない。
「って」
「すかい? だいじょうぶ?」
「ん、大丈夫大丈夫、ちょっとぶつけただけだから」
調子よく奈々子と同じように手を振っていたら壁に手の甲を擦って少し皮膚が捲れた。血も出てないし、ちょちょっと消毒すれば大丈夫。
「いたい?」
「痛くないよ」
「いたくないの? おとなでも、いたいときはいたいっていってもいいんでしょ?」
「・・・痛い」
「わかった! ななちゃんがいたいのいたいのとんでいけ、してあげる!」
なにこの可愛い生き物。もう痛いのなんてとっくにどっかにいっちゃったみたい。きっと神様も微笑みながら食べてくれたに違いない。
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