この運命に乾杯

カゲトモ

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「あーんっ間に合わなかったぁ!」

「お客様、誠に残念ではございますが、当店のラストオーダーはすでに終了しております。悪しからずご了承くださいませ」

 ラストオーダーを終えてガランとしていた店内に困ったような声が響いた。閉店時間ギリギリの来店、困った声を出そうがこっちにとっちゃ知らんこっちゃない。

「時間に余裕を持って行動するのが、いい男の条件じゃなかったっけ?」

「んもー、そうちゃんの意地わるっ。今日はどうしても外せない用事があったんだもん。これでも早く来た方なんだから。閉店時間には間に合ったし。いいから入れてよぉ」

 そういってグイグイ半分しか開いていない扉に身体を割り込ませてくる。おいおい、おっぱいが痛そうだぞ。

「今日はこの店の三周年記念でしょ? お祝い持って来たんだから入れてよぉ」

「ふん、仕方ねぇなぁ。そこまで言うなら」

 おまけで入れてやることにしよう。丁度店内に誰もいないしね。

「現金な人ね」

「今更知った?」

「そういう所も含めて昔から大好きっ」

 やめろ、ウインク飛ばすな。

「わぁリンさん、こんばんは」

「あらぁ遼馬君会いたかったわぁ」

「やめろ、うちの斉藤君を変な目で見るな。彼はノーマルだ」

「私はそんなの気にしないわよ?」

「え、へへ・・・」

 相変わらずのリン節に斉藤君は困ったように笑う。姿が姿なだけに良い気はしないと以前言っていたが・・・見た目は美女でもリンは男だからなぁ。

「遼馬君も飲みましょ、三周年のお祝いだから奮発しちゃったわよ。はい、ドーンッ」

「え、マジで・・・?」

「マジマジ大マジよ。だからうちの五周年記念の時はお願いね」

 なんて言ってリンが見せたのは、かの有名なシャンパンの帝王、クリュッグのロゼ。クリュッグの、ロゼ・・・!

「可愛い可愛いそうちゃんのお祝いだもの、ぱーっと美味しいお酒を飲まなくっちゃね」

 持つべきものは友ってそういうことなんですね。この出会いにありがとう(合掌)

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