第2話 ◆きび団子
◆きび団子
パートナーに選ばれたはずの佐々木は、打ち合わせを拒否しやがった。
もし俺と同じ条件だったら、彼女は退職する覚悟なのだろうか。
こうなれば、犬居、猿渡、雉田を連れて行かないと俺の命が危ない。
犬居、猿渡は俺の同期だ。 雉田は確か2コ下だったはずだ。
彼らは課長が連れて行って構わないと言っていたので既に話はついているハズだが、佐々木つむぎの事もあるので早めに確認しておこう。
なので俺は、直接3人の席まで行って話を付けることにした。
まずは、犬居だ。 こいつは人懐っこく従順なタイプだ。 そんな性格なので、みんなにかわいがられている。
よお、犬居。 元気か?
ん? 桃島かぁ・・ どうした珍しいな。
あれ? ひょっとして、俺との仕事の話しって聞いてないか?
なんだそれ?
いや、うちの課長から犬居も俺のプロジェクトに入れてもいいと聞いたんだよ。
いやいや、この忙しい時期にあり得んだろう!
・・・
そうだ。 俺は課長から渡された紙袋に関連資料か何か入ってるんじゃないかと中を確認した。
すると中から白い包装紙に包まれた小さな菓子袋が4つ出て来た。
犬居、猿渡、雉田と佐々木?の分か?
ならば・・・
おい、犬居、これやるよ。
おまえ、そんなのでオレが仕事を手伝うわけがないだろう。
いや、いいからもらっておけよ。
俺は菓子袋を押し付けて、猿渡の席へ向かった。
・・・
猿渡くん、ちょっといいかな。
んっ? ごめん、いま忙しいんだ。 できれば後にしてくれないか。
いや、1分で済む話しだ。
なんだよ?
いや、実は屑山課長から新しいプロジェクトを頼まれたんだ。
ほぉー
それでだな、メンバーに猿渡も入っているって聞いたんだけど何か言われてないか?
それは初耳だな。
チッ 屑山の野郎! ←心の声
そっか、じゃましたな。 あっ、そうそう、これやるよ。
なんだこれ? えっ、お菓子か?
・・・
お~い、雉田。 元気か?
なんですか、桃島先輩。
最近、新しい仕事の話しとかないかなっと思ってさ。
先輩暇なんですか?
あ゛っ? シバクぞおまえ!
いや、冗談ですってば。 やだな・・・
自分は今やってる仕事で工事が1ヶ月ほど遅れてて、もう3日も会社に泊まってるんですよ。
こんな状況でこれ以上、仕事なんか受けられるはずがないじゃないですか。
そ、そうか。 それじゃこれでも食って頑張ってくれや。
あ、ありがとうございます。
・・・
ちくしょう、いったいどうなってるんだ。 屑山の野郎ゆるさん!
佐々木の営業3課は5階かぁ・・ 気が進まないがついでに寄って行くか。
3連敗で階段を上る足取りはなんだか重く、更に妙に暖かい日であった所為なのか結構な汗をかいてしまった。
このフロアは初めて来るので、どこに誰が座っているのか全く分からない。
とりあえず近くに座っている女性に声をかけてみた。
えっと、すみません。 営業3課ってどの辺でしょうか。
ああ、それならこの廊下の一番奥ですよ。
どうもありがとう。
しかし、よりによって一番奥かよ。 廊下の端にいるやつなんか5ミリくらいの大きさにしかみえねぇじゃね~か!
そういえば今朝の占い、俺の星座は12位だったっけ。
歩きながらブツブツ言っていたら、すれ違った事務の女の子にジロジロ見られてしまった。
通路一番奥の部署毎にある受付カウンタで自分の所属と名前を告げて、佐々木つぐみを呼んでもらう。
しばらく待っていると、めちゃくちゃ可愛い娘がこっちに歩いて来た。
桃島さんですか?
忙しいところ悪いね。
鬼退治の件はメールでお断りしたはずです。
いやいや、業務命令だろ! 断るなら、それなりの理由があるんだろうね?
行くだけで片道1年なんて、あたし絶対無理です。
おいおい、納期は9月末だって聞いてるぞ!
それって、2055年の9月30日ですよ。
うん? おい今なんって・・・ まさか宇宙に行くわけでもあるまいし、そんなにかかるわけないだろう。
・・・ おい、なんだその目は・・ えっ? 宇宙なの?
次回へ続く・・・
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