14歳

祖母が私の家の窓をこじ開けようとしたことを、私は父と母に言った。 それから直ぐに、祖母は施設に入った。多額の借金を残して。その額は、数年じゃとても返せるような額ではなかった。私はこの出来事を機に、物音に敏感になった。母が部屋のドアをノックする音ですら、悲鳴をあげるほどに音に弱くなった。そのたび私は、心臓がバクバクと脈打った。音だけではない。祖父や祖母を連想する物事には、異常に身体が反応した。祖母が大変怖がっていた地震や、祖父の葬式の匂いであるお線香の匂い、食器がぶつかり合う音、冷蔵庫を閉める音、インターホン、ノックの音、ドアが閉まる音、人の怒鳴り声。 私はあの日以来、沢山の恐怖と隣り合わせで生きて行くことになった。祖母は施設に入ったあと、極度の精神病でベッドに縛り付けられていると母に言われた。家族の面会は禁止された。14歳の私に、父と母は、

「 おばあちゃんのことは忘れよう 」と言った。

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