怯える紫音
待ち合わせの場所のPMC本部の中に入ってすぐそこにある待合用のソファーでリュークさんと合流した。後は天野さんだけ何だけれどもぉ・・・・・・。
「・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・天野さん、遅いですね」
僕が 一体何をしてるんだろう? と思いながら言った瞬間、 ブチッ!? 何かが切れる様な音がした瞬間、隣から凄まじい魔力を肌に感じた。
「えっ!?」
驚いた顔をしながらその方向に顔を向けると、何とリュークさんとリトアさんが身体から凄い量の魔力を放出していた。
誰が見ても2人が怒っているのがわかる。リトアさんに至っては拳を握ってプルプルと震えている。
「あんのバカ一体どこで何をしているのよぉ・・・・・・」
「まぁまぁ、こういう事は今に始まった事じゃないんだからさ。落ち着こうよ」
リュークさんはそう言っているけど、声に威圧感があって何よりも笑顔が恐い。もし今ここに天野さんが来たらと考えると、どうなってしまうのか心配になってしまう。
「あの、お客様!!」
前を向いて見ると、ここの従業員の方が僕達の目の前にいた。沢山の足音のせいとリュークさん達の迫力のせいで気がつかなかった。
「・・・・・・あぁ?」
「ヒッ!?」
リトアさんが喧嘩腰に返事しながら空港職員さんを見つめ瞬間、空港職員さんは怯えた様子で身体を縮こませた。
しかし、彼女もれっきとした職員。姿勢を正して咳払いをしてから話し始める。
「す、すみませんが落ち着いて頂けませんでしょうか?」
「ああ、すまない。ちょっと問題があってね。イライラして気が立っちゃったんだ。
とりあえず、落ち着くから心配しなくて良いよ」
リュークさんは落ち着くって言ってるけれども、身体から放出している魔力が全然下がっていない。
「そ、そうですかぁ〜・・・・・・ご迷惑をお掛けしましたぁ〜〜〜〜〜〜!!?」
リュークさん達が恐いのか逃げる様な感じで離れて行く。その際に僕の方を見つめて 後は頼みましたよ! って顔をしていたのは気のせいかな?
「お前ら、一体何をやっているんだ!!」
声を掛けられた方向を向くと、何と大柄な男の人が睨みながらこっちに向かってズガズガと歩いて来ているではないかっ!! しかもGLOK19を持っているから、問答無用で撃たれてしまうのか心配になってしまう!
「あ、社長」
「あ、社長。 じゃないっ!! 危険そうなヤツらがPMC本部の入り口付近で魔力を放出している。って連絡があったから、様子を見に来たらお前達だったとは・・・・・・」
PMC本部の社長(?)さんは呆れているのか、頭に手を当てると ハァ〜・・・・・・。 と深くため息吐く。
「・・・・・・で、また天野の絡みの問題か?」
「ええ、アマノったら自分で PMCの本部で合流。 って言ったのに、いつまで経っても来ないんだもの。
全く腹立たしいわ!」
「いやぁ、リトアくん。正確には20分ぐらい待たされてるんだけどぉ・・・・・・」
「10分でも20分でも、レディを待たせるなんて事をやる男は最低よっ!!」
私はカンカンよっ!! と言わんばかりに周りの迷惑を考えずに地団駄を踏んでいる。その様子を見ていたら僕は怖くなって来たので、リュークさんの後ろに隠れて服を掴む。
「ほらリトアくん、落ち着いて。シオンくんも怖がってこんな風になっちゃってるよ」
「あっ!? ゴメンなさいシオンくん。怖がらせちゃって」
リトアさんはそう言いながら顔を近づけてくるけど、まだ怒っているのか怖さが抜けてない。
「シオン? もしかして、そいつが新しく入った 大園 詩音 なのか?」
「ええ、そうよ。可愛いでしょ」
「う〜む・・・・・・」
顔の怖いおじさんは僕に近くと、まじまじと身体を見つめてきた。
「・・・・・・華奢だなぁ。まぁいい。俺の名は
「大園 詩音 です。よ、よろしくお願いします!」
工藤さんに頭を下げて挨拶をすると、 ほう。 と言う声が聞こえて来た。普通に挨拶をしただけなのに感心する事なのかな?
「コイツらと違ってしっかりしているなぁ〜」
「えっ!?」
コイツらって、もしかしてリュークさん達の事?
そう思いながらリュークさん達の方に顔を向けて見たら、工藤さんに対して怒っていた。
「ちょっと! コイツら ってアマノと一緒にしないでよっ!!」
「そうだよっ!! 僕だって初めてに工藤くんにあった時に挨拶したじゃないかぁっ!!!?」
「俺の記憶じゃ二人共無愛想だったぞ。
特にリューク、お前なんて偉そうにしていただろう?」
「ウッ!?」
リュークさんは嫌な事思い出したのか、痛いところを突かれた様な顔しながら目をそらした。
「あの時はね。僕だって、龍族の誇りとかそのぉ〜・・・・・・」
「まぁ何にせよ来ているんなら良い。本部に行くぞ」
「ちょっ、ちょっと待って下さいよ!?」
工藤さんは僕達から背を向けて歩き出そうとしているので声を掛けて止めると、 何だ? と言いたそうに僕を見つめてくる。
「天野さんを待たなく良いんですか?」
「ああ〜、天野の事なら心配しなくて良い。任務の内容全部伝えている。だからほっといても大丈夫だろう」
「えっ!?」
全部伝えてある? ・・・・・・それってどういう事なの?
「やっぱりアマノくんが任務の内容を全部把握していたっ!!」
「アイツはもぉ〜〜〜!!? 全然話してくれないんだからっ!!!?」
頭を傾げている僕に対して、リュークさん達はまたまた怒って魔力を放出していた。
しかもさっきよりも魔力の放出量が多いので、さっきよりも怒っているのがわかる。
「おい、おい、ハァ〜・・・・・・とにかく今回の任務をさっさと話さないといけない。だからついて来い」
工藤さんはそう言うと勝手に歩き出したのを見て僕は、どうすれば良いのかわからなくなってしまったので工藤さんとリュークさん達を交互に見つめてしまう。
「そんな顔をしなくても良いわよ。シオンくん」
「ファッ!?」
リトアさんが僕の耳をいきなり掴んで来たので、思わず変な声が出てしまった。
「そうだよシオンくん。アマノくんがいなくても、やる事はちゃんとやるからね」
リュークさんもそう言いつつ耳を掴んで来て、耳を揉む様にして擦り始める。
「ふにゅっ!? な、何で僕の耳を触ってくるんですかぁっ!?」
「「癒されたいたいから」」
意味がわからないっ!? 僕の耳を触る事で癒される何て事、絶対ないよねっ!!?
そう思っていると、工藤さんがこっちを向いて話して来た。
「ああ〜、悪いが新人くん。そのまま触らせといて貰えるか?」
「何でですかっ!? 耳は尻尾敏感なんですよっ!! フワァッ!?」
二人共指先でスリスリと触ってくるので、思わず変な声が出てしまった。
本当に止めて欲しい。
「そのまま触らせておけば落ち着いてくれそうだからな。頼む、耐えてくれ」
「そうそう、このまま触りごごちの良い耳を触らせて欲しいなぁ〜」
「アマノのせいでギスギスした心を癒してくれるこの耳を、触り続けたいたいわねぇ〜」
触り続けたいって、僕の気持ちも考えて欲しいんですけどぉ〜・・・・・・。
「・・・・・・でも、満更でもなさそうね」
「えっ!?」
リトアさん、何でそう言うの?
あれ? それに工藤さんが僕の腰辺りを見ているけど・・・・・・腰周りに何か付いているのかなぁ?
「まぁ、シオンくんが満更でもないはわかったから、このまま触り続けるよ」
「このまま本部へ行きましょう。でないとこのまま触り続ける事になるわよ」
「後、任務の方もあるんだがなぁ〜・・・・・・」
うぅ〜・・・・・・このまま触られ続けるのは耐えられないっ!!
「わかりました! このまま行きましょう!」
この場で止めさせるのを諦めて、2人に耳を触られたままPMC本部の中に入って行く。しかし、そんな中で工藤さんが子声で コイツ、嘘をつけないタイプだな。 と言ってたのを聞き逃さなかった。
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