第12話
「ヤツの心臓を狙え!弾丸を取り出すんだ!」
「はい!」
二人は短い作戦会議を終わらせると二手に分かれる。
「グガアアア!」
「こっちに来たかよ!」
”アカネコ”は毛の生えた干からびた棒を手に取り、一瞬もったいないと思ったが、そんな事を言っている場合ではないと考え直し、呪文を唱える。
「”チェン・キャッ・ミド”!」
クサが大きく腕を振り上げ、”アカネコ”を殴り抜ける!だが、その拳は空を切った。
「グ?」
クサが周囲を見渡すが、誰もいない。この一瞬で逃げたか?いや、クサに埋め込まれた弾丸は、まだ”アカネコ”の気配を感じてる。……その方向は上だ!
「エイニャッ!」
クサの頭上から飛びかかるのは”アカネコ”。だが、その姿は人のそれではなかった。しなやかな手足、鋭利な爪、頭上に生えた耳、金色の瞳、3対のヒゲ、そして尻尾。人の姿をしているが、その全身は赤い毛で覆われ、細部は猫そのものだ。
「グアッ!」
頭上からの攻撃を受けたクサはしかし、とっさに身を翻して心臓への一撃を回避した。獣人となった”アカネコ”の爪は、クサの服を切り裂くまでにとどまった。
着地した”アカネコ”は速やかに体制を立て直す。その立ち上がり際をクサが狙う。
「ガアアア!」
だが、”アカネコ”は今回は避けず、クサの手を掴んで力比べの体制を取る。
「ガガガ……」
「ヌニャニャニャ……」
獣の力を得た今、”アカネコ”のパワーは操られたクサのパワーに匹敵する。両者動かず、第三者の介入までその拮抗は崩れないかに見えた。
だが、その拮抗はすぐに崩れた。
「ニャ!」
”アカネコ”はあえてクサの力に押されて後ろに倒れ込む。そして、そのままクサを巴投げ!
「グア!?」
クサは横ベクトルにまっすぐ吹っ飛び、そのまま廃墟の壁に叩きつけられる。そして、立ち上がろうとしたとき、すでに後ろに”アカネコ”がいた。
「フンッ!」
”アカネコ”はクサを羽交い締めにして抑え込む。
「今だニャ!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます