第4話
”アオカラス”と”アカネコ”、二人の魔術師は、立入禁止のテープが張り巡らされた廃墟へとやってきた。廃墟の周りには、複数の警察官が立ち、警備を行っている。
「やあ、ご苦労さま」
「お待ちしていました、こちらです」
警察官の案内で、2人は廃墟の中に入る。
「警部!魔術協会の方がお見えです!」
呼ばれた警部が振り返る。くたびれたコートを着ているが、現場を歩き回っている経験豊かな証拠でもある。
「おーう。こっちは任せて、お前は警備に戻ってくれ」
「は!」
警察官が去り、3人だけが残された。
「毎度どうも、警部さん」
”アオカラス”が手を差し出す。
「こっちこそだ」
警部も手を出し、握手する。
「さて、今回のガイシャは?」
「ああ、こっちだ。ついてきてくれ」
警部の案内で奥に進むと、そこには、死体が1つ転がっていた。
「死体発見は2日前。外傷はなし。死因はおそらく毒」
「おそらくって、どういうことですか?」
”アカネコ”が問う。
「表向きは毒ということになっている、と、そういうことだろう?」
”アオカラス”は、さも当たり前だというように答える。
「……」
警部は何も言わない。暗黙の了解というものがある。
「詳しい説明は省くが、やってくれるな?」
魔術絡みの事件は、魔術師の領分だ。
「ええ、それはもちろん。マルをいただけるのですから、がんばりますよ」
マル、すなわち、丸ごとすべてのことである。
「持っていくのは構わんが、代わりは作ってくれよな」
「いや、今回はその心配はいりませんよ」
「え?どういうことですか?」
”アオカラス”の言葉に、”アカネコ”は首をかしげる。
「このガイシャの身体は、すでにムシによって作られたものだ。急がないと、全部持っていかれてバラされる」
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