第18話不安な時間


時期は11月になりだんだん寒くなって来た。

東関東コンクールまで一ヶ月をきり僕も集中して練習していた。


時々美菜が見に来てダメ出しをしてくれる。

こんなやり取りを前ましたっけなと思い出していた。

「ちょっと聞いてんの?お兄?」

「ごめん、少しボーッとしてた」

「そんなんじゃ本戦なんて夢のまた夢だよ!」


美菜の言う通りだと思い気を引き締め練習した。





学校の昼休みに、黒沼が

「今度のコンクール見に行くよ!七瀬のいけてると見に行かないとな!」


僕は本当に嫌そうな顔を作って、

「見に来てもつまらないからこなくていい、

てか本当に来るな。」


「いやいや、コンクール自体はつまらなくても見に行けば早川さんと二人でおでかけできるじゃん!」


「それが目当てかよ。一応僕の彼女だからね」


「わかってるーまぁなんもしねーよ!

俺の親友の彼女だからなー」


でもこいつの中で僕は親友になっていたことに僕は少なからず嬉しかった。


今まで友達もいなかった僕が、友達から親友と言われて本当に嬉しかった。



放課後帰り道で、早川さんも僕のコンクールを見に来ると言ってきた。

正直なところ早川さんに来てもらって本戦出場できないとこを直で見られるのはきついので来て欲しくなかったのだが、僕の言うことを聞かないので、諦めた。



いつも通り家に帰り、夕飯の時間まで練習する。

今は美菜が受験勉強で忙しいので、この時間帯でも僕が練習できる。


夕飯を食べ終わった後、一度風呂に入りピアノ室で寝落ちしていいように歯磨きなどもしてからピアノ室にいき、練習する。

練習が終わった後汗などがかいていたら、軽くシャワー浴びて寝るというこれが今の習慣だ。



そしてコンクールが明日に迫って、


早川さんや黒沼、などに頑張れと言われて家に帰った。



家に帰り今日は軽く演奏を通すだけにした。


その日の夕食は、誰もコンクールの話はしなかった。

たぶん母も妹も父も僕に気を使って話さなかったのだろう。


夕飯が終わり、風呂に入り早めに寝ることにした。



ベッドに入ったが全然寝ることができなかった。

明日のコンクールで全て決まると思ったら、緊張や不安から眠気が飛んでしまう。

そして明日予選を突破できなかったら、水野との約束も守れないし、ピアノをやめなければならない。

やっとコンクールの楽しさがわかったのに、ここでは辞めたくないと思っていたからだ。





そんな事を思いながら僕は不安なまま眠りについた。


あの夢を見た。

 夢の内容は父との辛かった時のピアノ練習、コンクールでのミスタッチそして周囲からの失望の視線これらの嫌な記憶が、リピートで続く夢だ…。


朝になった。

懐かし夢だった。

僕にとっては最悪の悪夢だ。


だけど今回はそんな最悪から最後は誰がが助けてくれた夢だった。

悪夢なのかわからなかったけど、僕は気にしないでコンクールの準備をした。



朝食を食べるために下に降りた。

父はもうコンクール会場に行ったという。

正直ホッとした。

今父とあったら食事の時間までコンクールのことを考えてしまうからだ。


朝食も食べ終え、母が見に行くからねと言った。


今日が最後のコンクールになるかもしれないから、出来るだけいい演奏ができるように頑張ろうと思った。





そしてコンクールの会場に向けて家を出た。









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