第5話

すると何かが地面に落ちたような音がした。


見れば曲がった棒のようなものが転がっている。


女は思わずそれを右手で拾おうとした。


だが拾うことが出来なかった。


女がその状況を把握するまでに、少し時間がかかった。


そして現状を理解したとき、女は息を呑んだ。


あろうことか自分の右手がないのだ。


左手で触ってみると、女の右手は根元からなくなっていた。


そして地面に転がっているのは、信じられないことにどうみても自身の右手。


そう女の右手が落ちているのだ。


にもかかわらず全く痛みは感じなかった。


血の一滴すら流れていない。


――ええっ、どういうこと?


するとまた聞こえた。


耳の奥で、頭の中でしゃべっているような女の子の声が。


「次は首」



テレビを見ていた。


夕ご飯の前だ。


この時間はだいたいニュースをやっている。


ニュースでは女性の右手と首がはなれた事件を流していた。

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