第3話

そして後ろに立っている男と目があった。


次の瞬間、半そで男の身体から首がぼとりと落ちた。


――ひいいっ!


男は逃げようとした。


しかし腰を抜かしてへたり込み、その場から動けなくなってしまった。


するとまた少女の声が聞こえてきた。


「次はおまえ」


「えっ?」


「左足」



女はちょっとした買い物のために、コンビニに向かった。


深夜と言っていい時間だが、マンションの裏にある細い路地を抜ければ、コンビニまではすぐだ。


夜歩く人はほとんどいないし、その距離も短い。


ゆえに女一人でも特に問題はない。


そしていつものように路地に入った途端、女の脳裏にあることが浮かんできた。


――そういえば……。


昨夜、ここからそう遠くはないところで、二人の男の死体が見つかったのだ。


一人は右手と首がはなれていて、もう一人は左足と首がはなれていたそうだ。


気になるのは警察が「はなれていた」という表現を使っていたことだ。


警察は殺人事件と断定している。


病気や自殺で首が「はなれる」ことはないからだ。

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