死神は退屈を持て余す

折原さゆみ

プロローグ

「この町に死神が来ていて、魂を刈られた人がいる。」


 私が住む町でこんなうわさが広まっている。死神なんているわけがないと思うのだが、皆死神がこの町にいると信じているらしい。ニュースでも取り上げられるほどのものだった。


 実際には、深夜一人で歩いているところを死神に襲われているらしい。ただし、被害者が死神に襲われたと証言しているだけで、本当に死神に襲われたかどうかは定かではない。しかし、何者かに襲われた被害者は魂が抜けたようなうつろな状態、いわゆる生きた屍状態に陥っている。まだ死人が出ているわけではないが、生きた屍状態が何日も続いていて、衰弱している被害者もいるようだ。


 いったい今度はどんな事件に巻き込まれるのやら。大学に入ってから平穏に生きたいという願望が薄れている気がする。平穏を望む私とそれを望まない私が頭の中で常に戦っている。

 


 今回は死神という存在が出てきている。能力者や神様、幽霊には出会ったが、死神は本当に存在するのだろうか。また私の大学生活の平穏を乱しそうな事件が起きようとしている。いや、すでに起きているのだろう。

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