大嫌いな吸血鬼

@ninaruna

第1話プロローグ

目を閉じると、いつも思い出す。


血に濡れた手、血に濡れた床、

両親から溢れ出る血。


そして、

それを見つめる僕と

笑っている  


吸血鬼。


僕「お父さん、お母さん……?」


呼び続けても、誰からも返事は帰って来ない。


ただ、目の前の吸血鬼が静かに笑っているだけ。

そして、ゆっくりと僕に近づいて、

固まってしまった僕の首筋に、

ゆっくりと牙をたてた。


命が吸われている感覚。

ゆっくりと体温が低くなって、

手も、目も、動かなくなって行く。


あぁ、両親の元へ行くんだ……

僕、このまま死ぬんだなあー

 

まぁいいや。

天国で皆で仲良く過ごそう。

寝て、起きたらまた寝て、

今度こそ起きたら、笑って幸せに過ごそう。




…………嫌だ。

天国に両親はちゃんといるの?

友達と明日遊ぶ約束だった。

もう少しで学校が始まった。

ゲームだってまだ全然進んでない。

まだ僕は7歳。

こんなに早く死ぬの?



…………嫌だ。

…………嫌だ嫌だ嫌だ。



………死にたくない。

………死にたくない!!!


まだ、生きていたい!!



僕「……た、す…けて……」


声がまだ出ることに驚きながら、

力を振り絞った。


吸血鬼が気づき、吸う力が強くなる。


僕「誰、か……助けて!!!」



パリンッ


そこからは全てがゆっくりとして見えた。



割れたガラスから入ってくる黒いローブを被った人、数人が、

こちらに向かって走ってくる。


吸血鬼が僕から口を放し、開放された僕は倒れた。


黒いローブの人達はそれぞれ武器を持って吸血鬼を追いかけ、

吸血鬼は逃げて行った。




倒れた僕の元へ、

2人の黒いローブの人柄が近づいてくる。


??「まだ……生きてる!」

??「本当か!?」



あぁ、僕生きてるんだ…

死ななかった……


??「坊主、よく頑張った…!!」

??「もう大丈夫だ!」




安心した僕は、そのまま意識が飛んだ。




次に目を開けたのは一ヶ月後で、

病室の一室。




僕に、その吸血鬼に対する憎しみをもたらすことになった一夜は、

こうして、目を閉じるといつも

鮮明に思い出す。


恵梨香「海ー! そろそろ行くよ。」

海「あぁ、今行くよ。」

恵梨香「どうしたの? 大丈夫?」

海「大丈夫。ちょっと考え事してた。」

恵梨香「そっかー。じゃあとりあえず行こう

    か。」


海「あぁ。行こう。

  吸血鬼を狩りに。」



あの時の憎しみを胸に、

今日も僕は、ハンターとして歩き続ける。

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