パスタとコーヒーと青春群像劇

三風 風矢

プロローグ

どこかで鳥の声がする。自分は寝ているのか、それとも起きているのか。それが一向にわからない。ただ、何とも言えず心地よくて僕はしばらく、鳥の声を聴くことにした。何の鳥だろうか。僕に鳥についての知識はないけれど、それでもいい。

 少しずつ、自分は寝ていたんだと思い出す。目を覚ませばそこは土曜日のはずである。きっと晴れている。こうやって、気持ちのいい夢を見るときは決まって天気がいい。今日は何をしようか。予定を立て始める。これは昔からの習慣で、すっかり身についた。予定があると人生は生きやすい。昔父さんに教わった数少ないことだ。両親は死んでしまったけれど、教えてもらったことは今でもちゃんと覚えている。でも、習慣になっていることはこれだけではないんだ。

 僕が、父さんと母さんとの思い出の中で一番記憶に残っていること。そして、今の僕の習慣になっていること。

 

   二人は休日の朝に、熱いコーヒーを飲むのが好きだったんだ。

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