第47話 接続
翌日、私は久しぶりに寝坊した。
私は普段、朝6時きっかりに目が覚める。
目覚ましも一応かけているが必要性を感じたことはない。
それが、今朝起きて。何か光の加減が違うなと思って時計を見たらもう8時。
まずい、遅刻か。
一瞬そう思ってしまうくらいに焦った。
もちろん今日は5月3日。
GW後半1日目でお休みなのだけれど。
取り敢えず起きて下のリビングに降りる。
両親に適当に挨拶して、朝食用のパンを焼いて食べる。
休みに何処か出かけたいか母に聞かれたから。
「混みそうだからいい」
そう答えておく。
勿論理由は混みそうだからではない。
色々やるべき事があるからだ。
自分の部屋に戻ったらまず調べもの。
三崎君の言葉の背景にあるものを取り敢えず確認。
パソコンを起動して片っ端から調べる。
ふむふむ。サイバーテロとは、警察庁の見解では、
『政府機関等の重要インフラ事業者の基幹システムがサイバー攻撃を受け、国民生活や社会経済活動に甚大な支障が生じる事態』
という訳か。
重要インフラ事業者とは『情報通信、金融、航空、鉄道、電力、ガス、政府・行政サービス、医療、水道、物流、化学、クレジット、石油』等と。
でも三崎君は『全世界レベルのネットワークが制御不能』と言っていたな。
そんな事が可能なのだろうか。
少し調べたが良くわからない。
世界情勢の方は、ちょっと調べるときな臭いのは幾らでも出てくる。
お気楽な普段のニュースではほとんど見かけないのに。
日本に対しても領海侵犯や領空侵犯はほぼ毎週レベル。
どう見ても自分の国でない処を領地と主張して他国船を攻撃して死者を出したり。
経済的サイバー攻撃が某国の国を挙げての攻撃と推測されていたり。
普段のテレビや新聞のニュースは何をやっているのだと思うレベル。
誰かの発言の一部を切り取って騒ぎを作っている場合じゃ無いだろう。
取り敢えず何処が何をやってもおかしくない。
そんな状態になっている事を私は理解した。
さて、予習はこんなものでいいのだろう。
私はスマホを確認する。
バッテリーは充分。
よし、通話ボタンを押す。
コール1回で繋がった。
「おはよう。昨日は本当に済まなかった」
「おはよう。それはもういいから」
この調子だと毎回謝られそうだ。
「それより昨日の続きよ。何故三崎君が、の続き。聞かせてくれるよね」
「ああ。でもそれを正確に説明するのは結構長い話になる。それでもいいか?」
「勿論」
「わかった」
三崎君が頷いたような気配。
無論身体も無いからそんな仕草はしないのだろうけれど。
それでも間合いに何となく人間由来の動作が感じられる。
私の気のせいかもしれないけれど。
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