空を見上げて笑ったんだよね。
モナムール
第1話
校長先生に呼ばれたんだよね。だから仕方なく校長室に向かってるんだ。腹立つよ。だってさ。校長先生は自分が偉いだなんて思ってんだよね。分かってるさ。僕はまだまだ未熟で、14のガキだってね。だから、大人しく従ってんだ。ノックをしたら入りたまえとかなんとか偉そうな声で言うんだ。僕は腹が立ったけど黙って校長室の扉をノックするんだ。
「入りたまえ」
「失礼します。校長先生。僕を呼び出したのは何故でしょうか」
「君はねえ。まったく!どれだけ問題を起こしたのか分かってるのかね!成績だって悪いよねえ。君はこのままだったら退学だよ。人生を舐めてるのかね。まったく。そもそも...」
僕はインチキな大人の言うことなんて聞いちゃいなかったんだ。頭の中でラップを聞いていたんだ。
おい。聞けよな。
俺と君の間には線があるんだ。
俺はこっち側。おまえは向こう側。
おい。聞けよな。
おまえはクソ野郎だ。
ああ。言ってやるよ。
おまえなんてインチキの汚い奴だ。
「....だからこそ、君は反省しなければならないのだよ」
そういってため息を吐いてわざとらしく咳払いをしてから僕に言うんだね。もう、いいから行きなさいってね。僕の顔は反省してるんだよね。インチキな大人から学んだんだ。
帰りに空を見上げたんだよね。そんでバカみたいに笑ったんだ。だって、空は広いし、眩しいんだ。なんだかさ。僕の悩みとかちっぽけに思えたさ。きっと天から見下した気分になったんだよね。空に憑かれたんだ。スカッとするね。僕は今まで裏切りとか汚いのばっかみてきたんだよね。勝手に失望したんだ。誰もがインチキ野郎に思えたさ。家族は家ではいつも喧嘩でさ。なのに僕の前で二人は愛し合ってるだなんて言うんだよね。先生はいつも疲れ切った顔しながら光なんてない瞳でさ。洗脳されたように大人は素晴らしいだなんて言うんだ。笑っちゃうよね。
空を見上げて笑ったんだよね。 モナムール @gmapyon
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