第55話 復活の兆し?

 アルディート721HRB+T.D.ジリオン100H


 幾つかある「釣れないセット」の中の一つなんだけど、それが何故かここにきて復活の兆しを見せている…のかも?とゆーのが今回のお話。


 正直、嬉しいです。嬉し過ぎます。


 でもね。


 ここで、


 目指せ!釣れるタックル!!


 とか、


 釣れるタックルに認定だ!


 みたいな感じで張り切りマクって集中的に出番増やしたりなんかすると、途端に釣れなくなっちまうのはもはやお約束。だから、気付いてないふりして静かに喜んどきまっしょい。


 と、しょーもない前置きはこれくらいにしときまして、タックル編、参ります。

 まずはサオから。

 アルディートはデビューから既に20年くらい経っているダイワのサオでありまして。

 価格とか性能から考えると、今でいうブラックレーベルとかエアエッジ、リベリオン的なキャラになるのかな?

 アイテム数が多いため、余程特殊な使い道を望まない限り、この中から自分の釣りに合ったモノが見つけられるというのが特徴であり、魅力でございます。

 その中でも721HRBは重いルアーに対応したモデル。用途としてはビッグベイトやパンチング(=重いテキサスで分厚い藻のじゅうたんを突き破って釣る方法)かな。そんなサオだから、ガイドはトップガイドを除く全部がステンレス製のダブルフットになってます。


 使ってみた感じはとにかく頑丈。これまで散々無茶な扱い方してきたけど一回も折れてないもんね。

 ごつくて強い割に自重が軽いのも好感が持てるポイント。

 まあまあ軽いルアーが扱えるのも良い。スペックを見てもらうと分かるけど、適合ルアーウエイトの下限が1/4=7g。だから、そこまで大きくないワームのノーシンカーでも扱えてしまうのよ。

 といった長所がありまする。

 イマイチなのは、感度があまりよくないトコロ。でもこれ、撃ち専用のサオじゃないから当たり前っちゃ当たり前なんよね。なので、これは短所とは言えないかな。

 強いて言うならば、長いので持ち運びが不便な時があるコトかな。ただ、フツーに軽自動車のアルトでも積めるから、そこまで大した問題じゃないんだけどね。

 こんな感じで目立った短所もなく、使いやすくて良いサオですよん。


 スペックは

 標準全長:7フィート2インチ(2.18m)

 継数:1本

 仕舞寸法:218cm

 自重:165g

 先径:1.8mm

 元径:12.9mm

 適合ルアーウエイト:1/4oz~2oz

 適合ライン:16lb~30lb

 カーボン含有率:82%

 アクション:レギュラー

 となってま~す。



 次にリール。

 ここでいうT.D.ジリオンとは「06ジリオン」のコトで、初代のモデル。キャラ的にはバーサタイルで、その中じゃ中間グレードということになるのかな。

 3つのギヤ比とハンドルの向きの違いで6つのアイテムがあり、100Hは中間のギヤ比で右巻き。巻きにも撃ちにも使えるモデルとなってます。

 特徴としてまず挙げられるのは頑丈なコト。主要部分がアルミでできているため、かなりハードな使い方ができる。

 ドラグ力が6kgと、かなり強い。デビュー時、ダイワのバス用(ソルト対応)ベイトじゃ最強だったもんね。

 深溝スプールなので太い糸が巻ける。

 といった感じのリールだから、世間ではパワーフィッシング用として認識されておりますよん。

 遠投仕様のHLC、7.3リミテッド、PE、Jドリームと派生機種が多いのも特徴の一つ。


 使ってみて実感出来るのはドラグ力の強さかな。少々無茶したところでドラグ滑らんもんね。

 ボディーがコンパクトなので握りやすいのもいい。

 巻き心地が滑らかなのもいいよね。

 といった長所がありますよん。

 イマイチなのはブレーキ。ちょうどいい強さが無いんだ、これが。

 あるところを境(投げるものの重さによって変わる)にバックラッシュが増えるとゆー特性があるみたいで、それより一つ強くするとブレーキ力が一気に大きくなり飛びが悪くなる。そうなると軽いルアーの飛びがめちゃくちゃ悪くなるので、マジ、ストレス溜まりまくりでござーした。

 でもこれ、スプールベアリングがダメになったのを機に社外品のセラミックベアリングへと交換したトコロ、格段に使いやすくなったのよね。でったん遠投が効くようになり、しかも軽いルアーも目に見えて扱いやすくなったとゆーね。今や持っているタックルの中でも屈指の遠投性能を誇るリールに進化なのですよ。

 交換したせいで淡水専用になっちまったけど、元々海で使う予定ないから一切問題なっしんぐ。


 スペックは

 巻取り長さ(cm/ハンドル1回転):71

 ギヤ比:6.3

 自重(g):225

 最大ドラグ力(kg):6

 標準巻糸量ナイロン(lb-m):12-135 16-100 20-80

 標準巻糸量PE(号-m):1.5-200

 ベアリング(ボール/ローラー):6/1

 となっております。


 こんな感じでタックル編は終わりにしま~す。




 それでは。

 ここからは実釣編、参ることに致しますぞ!

 あと一週間ちょいしたら新しい職場(今の時点で働き始めて既に2年ちょいになるけどね)。

 せめて天パーバリバリのキチャナイ髪の毛だけでもちゃんとしとこうと思い、昼飯食ったら三発。

 あ!違った。

 散髪。

 意外と早く終わったので、やることも無くなり買い物にGO!

 が、しかし、それでも時間がボッコシ余る。


 釣りにでも行くか。どこに行こうかな?


 しばらく悩む。

 というのも、たまには「ゴムの場所」以外の場所に行ってみたいのよ。でも、クルマ乗り入れられる場所って意外と少なかったりすんのよね。

 それで、考え付いたのは遠賀川本流に架かるとある大きな橋の下流。

 実はここって今のバスブームの初期までは、いちばんよく通っていた場所。

 オカッパリ場として超有名なこの場所は、釣りビジョンで複数の番組に紹介されてからさらに人気が出てしまう。

 足場が良くてたくさん釣れると来れば、そりゃ~人気出ないワケないもんね。


 ただでさえ人気があったうえに、マスコミパワーで訪れる人間が爆発的に増え、叩かれマクった魚たちは常に警戒心MAX。

 こうして全く釣れないポイントに成り下がり、行く気がしなくなって数年。

 といったこれまでの流れがあるんですわ。


 あれから状況は変わったかな?


 良い方に変わったことを期待する。


 パッと見、護岸されているだけのこの場所。でも、底はかなり変化に富んでいたりする。

 ゴロタが多く根掛かりが頻発するため、通常~ヘビーテキサスや、それなりの重さがあるジグヘッド、深く潜るプラグなんかは引くことがかなり難しい。

 だからここでの主な釣り方はノーシンカーやネコリグ、ジグヘッドワッキーといったフォールスピードが比較的遅く、根掛かり回避性能の高いものがメインとなるのよね。


 メジャーなポイントなので、プレッシャーが高いため、集中して釣りしたい。

 だから、持って行くのは一本のみで、フィネスは無し!

 といった条件と、今日の気分から使うタックルを選出する。

 サオ置き場を見ながら考えていると、「強いタックルで釣りてぇな」という気持ちが沸々と湧いてくる。

 そこで目についたのが、アルディート721HRB+T.D.ジリオン100H。

 前回はテキサスを使っていたのでノーシンカーへとリグり直す。

 ルアーは4インチシュリンプ。色はウォーターメロンシード。

 ビンボー人なので、裂けた部分を焼いて修理。


 よし!これで使える!


 ハリに刺して、シャンクに板オモリを巻く。

 準備完了。


 この頃晴れ続きやし、たいがいのトコロはハイエースで入られるやろ。


 とゆー理由で相棒はハイエースに決定。イボらない限り荷物の積み下ろしと運転は楽な方がいいもんね。

 荷物をぶち込んで、いざフィールドへ!


 目的地が近くなり、橋の上からいつもの駐車スペースを見るけどクルマはいない。


 ポイント独り占め?


 一瞬ワクワクしたものの、どーにも嫌な予感がする。

 右折レーンに入り、入口のスロープに目をやると、そこにはガードマンの姿。

 右折し、土手の下を見ると、ダンプが作業していやがる。

 な~んかまたしょーもない河川工事をしている模様。


 下りれんやんか。


 そのままスロープはスルーし、目的地をゴムの場所に変更する。


 ポイントまであと少し。

 橋の上で信号停車した際、スロープ下の広場を見ると、3台も入りやがっている。


 ここも無し。


 下流の消波ブロック帯にいちばん近いスロープを下りる。

 そしていつものポイントにクルマを止めた。


 やっと釣りできる!


 近所なのにえらい長い道のりだった。


 道具をおろし、水際に立ってフィールドの状態をザッと見る。

 しばらく雨が降ってないため水質が悪い。

 田んぼシーズンだから雨降らないと減水してしまうんだけど、今、まさにそんな感じ。

 オマケに爆風。台風もビックリな風が吹いていて、ノーシンカーやるにはちょいキツイ。


 投げ始めてすぐに根掛かりしてロスト。そしてその次も。

 立て続けに2本もロストして、心が折れかける。

 気分を変えるため&ぶっ飛ばすために5インチヤマセンコーのパンプキンシードをストレート掛けにしてやってみるけどイマイチこれじゃない感が漂う。


 使いかけのワームから重点的に使っていこう。


 そう決めて選んだのはダイワTGクロー。

 かなり前に買ったけど、ずぅっと出番がなかったヤツ。

 これ、単体でも11gあって大遠投できる。結構気持ちいーっちゃけど、使い方がよくないのか、あんましスライドせんのよね。だからスプリットショット噛ませて目の前で落してみると、方向性が定まっていい感じ。


 なんか釣れそう。


 しか~しっ。

 しばらく投げ続けるけど異常無し。


 あまりにも何も起こらないから飽きてきてチェンジ。

 選んだのはOSPの4.5インチドライブスティックversion2。色はセクシーシャッド(背中側が青、腹がクリアで銀ラメ)。

 ノーマルセッティングでハリのシャンクには板オモリ。いつものノーシンカーっぽいウェイテッドフックもどきでございます。

 これを立ち位置からランダムに、扇形に投げまくる。


 しばらく投げ続けていると、18時の鐘が鳴る。

 辺りは少し薄暗くなってきた。


 チャンス到来 あらわになった背中にMoonlight♪

 チャンス到来 恥ずかしがったうなじがStand-by♫

 チャンス到来 転がり込んで秘密のゼスチャー♬(byバービーボーイズ)だ!

 って、長いよ!


 まぁそれはいいとして、チャンスタイムが到来する。


 集中して投げ続けること約30分。

 真正面よりも少し下流にある「引っ掛かる何か」をゴリゴリ感じながら引いてきていると、「モワッ…」とした感触が乗る。


 ん?食った?


 巻くのを止め、待ってみるけど持って行かない。

 僅かにサオ先を上げ聞いてみると、まだ重さは残っている。

 一呼吸おいて思いっきし仰け反るようにアワセると、重さとともに生命感!

 下流方向へと横っ走りする魚。

 あまり走らせると消波ブロックの隙間に潜られるから、強引にリールを巻く。

 糸が擦れる感触は伝わってこない。


 躱せた…のか?


 そのままリールを巻き、寄せていると、みるみる重さが失われていく。

 水面へと向かう感触。


 飛ぶ!


 さらに早く巻き取り、テンションを掛ける。

 直後、


 バシャバシャッ!バシャバシャッ!


 連続して数度のエラ洗い。

 これである程度の大きさが分かった。


 小さくはない。


 飛んだあとは深場へと突っ込む。

 手前の消波ブロックの隙間へと潜り込もうとしている。

 それを無理やりタックルのパワーで引き剥がす。


 あと少しハンドル長かったらファイトしやすいのにな。


 そんなことを考えつつ、リールを巻く。

 足元の消波ブロックが疎らな個所に導いて、数度の突っ込みを躱すと水面に浮いてきた。

 顔を出すと、


 ん?血?


 口の周辺が赤い。


 呑まれた?


 血の気がサーッと引いた。

 サオを立てて強引に抜き上げると、ぶっ飛んできた。

 地面で暴れる魚を取り押さえ、口に指をねじ込んで持ち上げる。

 ハリは上あごの左側に掛かっている。

 血はそこから流れていた。


 エラじゃなかった…


 ホッとする。


 口に掛かって血が出るのっち、まあまあ珍しいケースやんな。早く血が止まればいいのにな。


 そう願いつつ、ハリを外す。


 ガリガリに痩せたアフターの女の子。

 体はキレイだけど、何度か釣られているらしく、口がかなりボロボロ。

 ハリを外し、記念撮影した後、サオの模様で大きさを測ると下あごを掴み、水に浸けてそっと手を放す。

 その瞬間、


 バシャ!


 水をぶっかけて去って行った。

 元気でよかった。


 傷、早く治せよ!


 心の中で願いつつ、いい時間なのでタックルを片付ける。


 家に帰って測ると36cm。

 思っていたよりも小さい。


 それでも。


 今日もいい釣りができた。

 何より釣れないタックルで釣果を出せたことが嬉しい。


 これを機に、釣れるタックルへと昇進してもらいたいもんやな。

 持ち主としては、このタックルでの魚の掛け心地とかでったん好きなんで、できるならば完全に復活して、出撃するたび活躍してくれんかな?とか、強く願うのでありました。

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