第4話 夢の芽4
日が暮れたが篝火がたかれてまた人出は増えたようだ。茉緒は手伝いの農婦に身代わり屋敷内にいる。どうも出陣の宴が開かれているらしい。凛も女中として入り込んでいる。それぞれが間取りなどを記憶して帰るのだ。宴が始まるようで壇上に頭巾の男と奥方が座る。
茉緒は耳を澄ます。くぐもった声でお館が隣の武将に話しかけている。
「兵は50人出す。六角家の城攻めの裏門を破る。火薬の手配はいいな?」
「服部とは?」
「今回は手打ちだ」
「と言うわけには?」
「昨日服部とは抜け忍狩りをこちらですることで受けたわ」
奥方が能面のような顔で、
「先に休んでいまするゆえ」
と残して立ち上がる。
「お館もほどほどに。明日は強硬ゆえに」
茉緒は二人が一つに絡まる絵を浮かべて無感動に頷いた。くノ一は10歳より技を仕込まれている。当然茉緒は巧みに後ろの穴に引き込む。くノ一のためにお祖母ちゃんに妙な薬を小さい頃から飲まされている。どういう訳か今では凛に劣らず胸が膨らんできている。
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