映画「リメンバー・ミー」考察
ハティ
1:SEIZE the MOMENT(日本語訳:チャンスをつかめ)
デラクルスのモットーとして何度も登場する「SEIZE the MOMENT」という言葉。
同じ意味で「Catch the moment」という成句がありますが、この映画ではあえて「SEIZE」としています。
では、なぜ「SEIZE」なのか。こういう時は辞書を引き、ニュアンスを確認しましょう。
「SEIZE」には「catch」と同様に、掴む、捕まえる、といった意味があります。しかしcatchと決定的に違うのは、もっと強引で乱暴に、「対象に危害を加える可能性」を含んだ言葉であること。そして、奪い取る、強奪するというどちらかというとネガティブよりの意味合いで使われるのです。
なので、原文では「チャンスをつかめ」というよりも「手段を選ぶな」というニュアンスが多分に含まれているのです。
ミゲルが冒頭で廟からギターを盗もうとしていましたが、先祖への敬愛が強い土地で、しかもよりによって死者の日に実行するのはタブーともいえる「死者への冒涜」なのです。
ミゲルにしてみれば夢に近づくために起こした出来心。最初の赦しさえも軽い気持ちであっさり破るのですが、「SEIZE the MOMENT」の行きつく先が名声を得るためには人殺しも厭わないデラクルス。
夢をかなえるためには何でもできる、と一見聞こえのいい言葉も、裏を返せばとてつもない危険をはらんでいるというわけです。
これは深読みになりますが、SEIZEに発音の近い単語として「Scythe」というのがあります。これ、何だかわかりますか?
正解は「大鎌」。シックルとかサイズとも言いますね。で、これとセットで出てくるものと言えば……そう、死神。
骸骨だらけの死者の国と「SEIZE」。一つ深い闇が見えてきましたね。
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