超短編SS

にころ

第1話「テーマ:こども」

『君はおっきくなったら優しいとっても素敵な子になりそうね。』


忘れたくても忘れられない。ずっと心に残ってるあの時の言葉。

僕はそれを信じて長い時を過ごしてきた。

いつか悲しい思いをしている子達を救うんだ。

正義のヒーローに憧れた僕はいつもそう息巻いていた。


僕は先生に出会うまでいつも泣いて謝ってばかりいたから。


「あれからずいぶん経ったよ。僕は先生のいう優しい人になれたかな…?」


いつも、あの日微笑んでくれた先生からの返事はない。

でも、僕は先生のことをずっと遠くから思っていたよ。気付いてたかな?



僕の時間は大きな鯉のぼりに食べられちゃったみたいで


先生の時間だけが進んでいた。



先生、僕もいつか先生みたいに大きくなれるかな?

大きくなった僕はかっこいい?

先生みたいに優しい?



それとも――
















お母さんみたいな可哀想な人になるのかな?

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