第5話 魔族との接触

「!!」優はなんとも言えない気配を感じた。

これは殺気ではない。

猫耳レーダーもそれを感知した。

「魔族の大群を感知。ここに接近中。」


空を覆い尽くす大量の魔族が街を越えている。

地上の人々は恐怖した。

魔族は人族などよりも強大な力を持っていて、魔族一人で多少の人口の街など壊滅出来る。

ある人はあまりの恐怖に失神し、または失禁したりした。

騎士団や軍隊の馬は怯えてしまって使い物にならなくなっていた。


空中を飛んでる魔人たちは話す。

「人間どもが逃げまくってますぜ。ちょっと狩ってきて良いですか?」

「控えよ。ワグラー。魔王帝陛下の指示は勇者との接触だ。命令違反は許さぬ。」

「へいへい。」ワグラーはいったんはそう答え、再び上官に問う。

「勇者と接触してどうするんですかね。殺すんですか?」

「お前では敵わぬぞ?勇者が一時的に放出した戦闘力は10億ハイドを越えていた。」

「・・・・うわー・・・本当ですか?」

ワグラーは後ろに付いてきている大軍を見て言った。

「・・・・敵うんですかね。この程度の軍で。」

「戦いに行くのではないぞ?接触だと言っただろう。だから人間どもは捨て置くのだ。」

やがて湖畔にその勇者が立っているのが見えた。

向こうも攻撃してこない。


「勇者殿とお見受け致します。」

地上に降り立った一番偉いような魔人が言った。

他の魔人は空中で控えている。

「・・・・・そうだが?」訝しそうに優は答えた。

「私は魔王軍総参謀長ヒャゲル。魔王帝陛下の親書を勇者殿にお渡ししたく。」

魔人は膝を折って敬意を表す。

礼儀正しい態度は優も好感を持った。

いきなり斬りかかるあのバカどもよりは余程、話が通じそうだ。

「これに。」

魔人が差しだした親書を風魔法でたぐり寄せた優は封書を開けて中を見た。

日本語である。

「・・・・へえ。」

そして中身が中身だったのだ。

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