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「小学生になってもまだまだ甘えん坊で。今日もママはお出掛けだって言ったら不安そうな顔をしてね。ちょっと家出て来るの躊躇ったもん」

「おやおやそうでしたか」

 とか言って、そうやって言ってもらえるのも嬉しかったりするんでしょう?

「あ、ばれてた?」

 やっぱりね。

「だってその顔も可愛いだもん」

 そう言う福留さんの顔も嬉しそうで可愛いですけどね、なんて。

「まだまだママのこと好きでいてくれるんだなぁって思うと可愛くて可愛くて。旦那とお留守番してくれている時もちゃんといい子で待っていてくれるみたいだし。まだ小さいのにもう親思いで、ってあ、今親バカだって思ったでしょう?」

 えぇ、えぇ思いましたとも。だって福留さんのそんな顔を見たら、誰だってそう思うでしょう?

「ママも子供たちのことが大好きなんですね」

 そう言うと、福留さんはふ、と小さく笑って答えた。

「当たり前じゃない、そうじゃない母親なんていないでしょ。店のことや家のことでイライラしたり忙しい日々を送っていたとしても、あの子たちの顔を見るとそんな気持ちもどっか行っちゃうのよ。あぁまた明日も頑張ろうって思えるの」

「素敵ですね」

「ふふ、そうでしょ? 宝物を毎日傍に感じられるのよ、とても素敵でしょ?」

「はい、とっても」

 そう思える福留さんだからこそ、子供たちも寂しくてもママを見送れるのかもしれないな。幼いながらもママが嬉しいならって思う健気な気持ちがあるんだろう。なんか、あったかいな。

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