素人ディストピア論

ダクト飯

ディストピアで使われてそうなえげつない言葉「修正ロールズ原理」

まずロールズ原理とは何かを明らかにしておきたい。そもそもロールズ原理という言葉自体がないんだが、とりあえず「無知のヴェール」という概念から引き出されるさまざまな結果にこの言葉を使う。


「無知のヴェール」とは簡単な話で、「生まれてくる前、あなたはその世界についてデザインすることが許される。ただし、どんな階級・属性に生まれるかはわからない」とかそういう話だったと思う。その状況下では、平等なようにデザインする他なくなる、というのである。要は「ケーキを兄弟で切るとき、兄が切って弟が選ぶ」というやり方に似た論理で、平等を定義したのだ。

この手法はリベラル政治学では広く受け入れられている……らしいが素人なのでよくわからん。


さて、この単純明快な理論を「修正」したというのはどういうことか。一応この理論は金持ちが金儲けするのを止めない性格故、新自由主義を生み出したとして批判されており、そこは修正の余地があるだろう。が、それはアドホックなパッチで十分だ。


そこで考える。ディストピア、てめえ、何を「修正」した。

「ただし、○○には生まれてくる可能性はないものとする」あるいは「○○について考えることは禁止」と。


○○の境遇を考えると不憫でならない。おそらく、この修正原理も、学者たちの激論の末、修正された理論なのだ。つまり、○○は、最新の倫理学の研究成果という根拠の元、満を持して差別される運命にあるのだ。

これほどまでに酷いことはあるか。悪法であれば、革命権を以って否定することができる。しかし、学問は(現在のところ)覆せない。そして、当人ら、あるいは理解者的存在がそれに抗議することも「クズの所業」なのだ。

そしてこの「修正ロールズ原理」の受け入れから1世紀経ち、生まれてこの方「修正ロールズ原理」の教育を受けてきた今の○○は、不満を漏らし差別に反対することにすら、良心の呵責を覚えるようになる。


だから、この言葉はえげつないと思う。

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