第30話「試練!マルチブル・シンクロード」~ストーリー構想など~

・ドラグーン・フォートレスが日本へ向かう途中、バグスカイヤーの編隊が背後から襲ってきた――天空軍団の残党だろうか。出撃するネクストはアサルト・シュートを連射して蹴散らしていこうとするが、そこにティービストが参上。クアント・ソーサービットとレーザービットの併用で瞬く間に退ける。玲也は助けてくれて有り難いが、助けてもらう必要は別になかったと少し複雑そうなコメントを述べるが、レクター曰く別にお前の事ならば助けるつもりはわざわざなかった、ただアンドリューがドラグーン・フォートレスに向かったとの報せを聞いたのでちょうど良い頃合いだと思い参上したらしい。今一つ意味が分からない玲也だが、アンドリューが「ゼルガの言ってたやつか」と思い出したように気づき、すぐさま彼がエスニック達に事情を説明し、レクターの望み通りドラグーン・フォートレスへ彼を迎えることにした。


・かくしてレクターがドラグーン・フォートレスへやってきた。仮面の男に周囲は警戒するも、彼は元々ゼルガからの命を受けて玲也を鍛えるために参上したと明かす。彼曰く玲也はゼルガを下した男としてその実力は十分だと評すが、お前が普通のプレイヤーなら自分が教えることはなかったかもしれないとの事。普通のプレイヤー……との違いは3機のハードウェーザーを一人で操ることになる。今まで電装銃G1を駆使して乗り換えて応戦していたが、今後複数の機体を同時に運用することが必要な事例もあり、さらに言えばウィンダストは3種類の電次元兵器を所有しており、単純に例えれば同じ3種類の電次元兵器をぶつけるには、リキャストを入れるとしてもお前が最低2機以上は操れるようにならなければとの事。この話に才人が玲也はあくまで一人だから3機を同時に動かすことは無理だと突っ込むも、レクターは既に2機以上同時に動かすことが出来る例があると、特にシャルのヴィータストとスフィンストを例に挙げて説明する。イーテストのスカイX1だって同じであり、ネクストのグレーテスト・サークルも同じで何らかの大型哨戒機やデータ容量の少ないハードウェーザーなら2機同時に動かすことが出来るのだと説く。


・しかし、玲也のブレスト、クロスト、ネクストのデータ容量はスタンダード、いわば大型であり遠隔操作で動かすにしても、データの容量が大きすぎて操縦しきれない。そこでゼルガが試験的に用いていた思念誘導を使って補う必要があるとの事。これはリキャストのサイキック・ビットミサイルがそうだったようにプレイヤーの思念で操縦することが出来ていた。最も思念誘導に依存し続けることはプレイヤーの負担が非常に大きく危険であり、あくまで遠隔操縦を補う意味があると前置きをレクターはする。3機同時にハードウェーザーを遠隔操縦で動かすことが出来る“マルチブル・シンクロード“との概念に玲也は驚きを感じていた。


・このマルチブル・シンクロードは実際に出来るものなのかと才人が問えば、レクターは論より証拠だとシミュレーターを使って実践しようと突如言い出す。これにブレーン博士は思念誘導などのシステムに対応していないはずだったと戸惑うが、ゼルガ達のシミュレーターでは同規格で思念誘導に対応できるようにアップデートされていると彼はプログラムを書き換え、その上で思念誘導を強化する専用のバイザーを使えば対応できるとの事らしい。それからレクターは3対1で玲也と戦う事にしようと提案する。これにシャルが卑怯だと突っ込むも、ハンデとして玲也は3機のうちの1機を戦闘不能にすれば彼の勝ちとしようとの条件をレクターは追加する。ニアは随分ハンデ付けてるじゃないのと皮肉るのだが、レクターは彼女のハドロイドのタグを突如掴んで何かを確認する。そしてニアに対してはお前を動かすのは難があるとコメントしてさらに彼女の怒りを買う。最もレクターは彼女の突っ込みを無視して、ヴィータストとスフィンストは容量が少ないから同時に動かしてもあまり実践にはならないと、クロスト、ネクストを選ぶことにした。彼曰くリンは3人の中で最も動かしやすい、エクスは難がありそうで実際の所チョロいと評し、このコメントにシャルが笑っていた……が、アンドリューとリタが連れてきたティービストのハドロイドらしき女性も仮面をつけており、一言もしゃべろうとしない。彼女が誰かよくわからないがシミュレーターに搭乗した際にモニターから表示されたブルーナとの名前に対して、シャルはどこかで会った記憶があったような気がしていた。


・そのさなかティービスト・クロスト・ネクストの3機を相手にブレストが対決する事となった。シミュレーターのコクピット内でレクターが仮面を取りはずしバイザーをつける。俺はこのバイザーの出力を強化しなければ彼らを動かすことが出来ない。普通の人間では危険なほど脳に負荷をかけるとの事。最も玲也へはバイザーがなくとも3機を動かさなければならない、ゼルガは既にマルチブル・シンクロードを会得しており、彼に勝ったことがある者ならば出来る、自分がゼルガの為力にならなければならないと決心していた……とゼルガに思いをはせる


・その頃太陽系では、アポカリプス2号をアンドリューの活躍で奪取した事から、ゲノム解放軍の戦力として加え、太陽系の戦局は彼らに傾いていた。だがアンチ・トライアングル・フィールドが解除されない状況の中で地球側からの物資が不足している問題は続いており、負傷兵や非戦闘員を何とか地球に返すことは出来ないかとの懸念点があった。この機にゼルガは自ら単身でゲノムへと乗り込んで、アンチ・トライアングル・フィールド発生装置への攪乱作戦を行おうとしていた。それにはゲノムへ残したレジスタンスたちの精鋭本部隊が残されており、彼らとの連携を再び取ろうと考えていたのだ。ゲノム解放軍のマイク・ファルコ将軍の艦・クローズボックスに負傷兵や非戦闘員を収容させて、ゼルガが発生装置を無力化した隙に大気圏へ乗り込ませようとするこの作戦。その為にゼルガが囮役も買わなければならないが、最もゼルガは私こそいろいろな意味でふさわしいとこの危険な役割に対して楽しんでいる様子があった。


・かくして、リキャストがゲノムへ繋がるゲートが存在する拠点ネック・エンジへ攻撃を開始した。サイキック・ビットミサイルを駆使する彼にバグロック部隊が翻弄されるがガリオからそのリキャストは分身だと見抜かれる――最も本物のリキャストがウィンダストと対決を繰り広げている事もあった。リキャスト・バトラーでの高機動力でウィンダストの攻撃を回避しながら、彼はピンポイントにウィンダストの武器を破壊していく。電次元ソニックを活かして電次元フロストランチャー、プラズマブレードを狙う――ゼルガ得意の戦法だ。この2つの電次元兵器が電次元ソニックで破壊されるのだが、ウィンダスト本体は堅牢でなかなかダメージを与えることが出来ない。しかし電次元マントルパンチャーが放たれる直前にリキャストは電次元ジャンプ。ゲートの近くに待機していたバグロックと接触し、バグロックからゼルガがリキャストへ乗り込んでみせる。彼は本体もマルチブル・シンクロードで動かしていたにすぎず、ガリオは見事彼に出し抜かれたのだ。強敵を倒すことだけが勝利条件とは限らないのだよと余裕綽々の彼に対してガリオは激昂するも、シーラが本部隊にゼルガを止めさせれば十分、実際七大将軍が地球側で劣勢の状況であり、貴方が今ここから離れれば太陽系をも危ないと窘められて思いとどまる。彼は七大将軍が見掛け倒しのような存在だとこの場でいない彼らへ八つ当たりするが、シーラは今のガリオは冷静さを欠いていると考え、何とか自分がしなければならないとも思慮していた。


・そしてゲノムへとゼルガとユカはたどり着いた。すぐさま電装を解除して身を隠しながらレジスタンスの本部隊と合流を果たす。その本部隊には――秀斗の姿があった。彼ら本部隊は現在対バグロイヤー用の最終兵器の開発及び各地の設置を行っており、その中でバグロイヤー本国の真相を知らされる。どうやらバグロイヤー皇帝は既に何者かに暗殺されており、現在のバグロイヤー皇帝は偶像や傀儡のようなものであると……さらにどうやらその暗殺犯は側近に君臨している天羽院のようで、彼は№2の立ち位置ながら実際はバグロイヤーの政権を掌握しており、七大将軍を従えているらしいとの事。現在の七大将軍でこの事実を知る者はいるのだろうか――秀斗は天羽院にとって電次元や惑星ゲノムについてどうでもよいのではないかと考え、彼はそれより自分へ屈辱を味合わせた地球への復讐の為、バグロイヤーの勢力を利用しているに過ぎないのではとの事だった。真相を突き止めるにはまだ時間がいるとの事らしいが……秀斗の複雑そうな表情からゼルガは息子のことが心配かと気遣うと、彼は自分だけこのゲノムから逃げ出して息子に会いに行くことが出来るかと拒む。最も周りだけでなく自分自身としても自分から息子へ会おうとはしなかった。それは玲也がゲーマーとして自分を乗り越える約束を果たそうとして、ハードウェーザーのプレイヤーとして自分を探すために戦う事から始めて、今この戦いを終わらせようとしている事に感心していたこともあった。もしここで自分が玲也へ会いに行けば、彼の自分を乗り越える夢をぶち壊すことになってしまう。彼は単に父恋しさで自分を探しているのではない、自分を倒して乗り越えていくために捜しに行くのだから、自分を救い出すことすらできなければ、その程度の男だと突き放す様子もあった。その頑固で一途ながら彼の冷徹な姿勢にゼルガは玲也の父だけの事はあると苦笑しながら、お前は良い父を持ったなと彼を少しうらやむ。最も玲也が秀斗の元にたどり着くためには、彼のさらなる成長が必要。その為にレクターの力が必要だと彼は案じていた。


・そしてレクターだが、3対1の勝負でブレストに勝利していた。最も数からすれば当たり前かもしれないが玲也はレクターがクロスト、ネクストを特に問題なく動かしていた事に驚いていた。最もレクターはお前にもできる、できなければならないとの事。その為にはプレイヤーとハドロイドの強い信頼関係が必要だと、ハドロイドの首のタグを指しながらレクターは示す。強い信頼関係を持つようになると、タグが光り輝きハードウェーザーを自力で電装する事も可能となり、玲也の思念誘導をそのままトレースできるようになるとの事らしい。早い話一種のリミッター解除ともいえる。レクターはお前にそのテクニックを習得させるために自分がいることを告げて去る。その後シャルがレクターの正体を玲也に話そうとしたが、信頼関係が大事とのことでエクスが玲也へ熱烈なアプローチをし始め、これにニアが突っかかって口論になってうやむやになってしまう。そしてティービストのコクピットでレクターは倒れてしまう。どうやらバイザーの力で脳を酷使したのが原因らしく、ハドロイド――ブルーナは彼の事を案じるが、自分は使命を果たすまで死ぬ訳にはいかないとの事。一度尽きたと思われたこの命が機械の体とともに蘇った身として、自分を超える弟、そしてその弟を下した玲也という少年の為に尽くそうと……マックス・リーは電次元戦士Dレクターとして残された命を賭して戦う覚悟だった。

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