第27話「そして砂塵に騎士は消えた」~ストーリー構想など~

・ドラグーン・フォートレスはフェニックス・フォートレスへ合流した。フェニックス・フォートレスは新たにダブルストが改良されて、子機ともいえる小型ロボット・ダブルゴーストを展開してのフォーメーション戦法が可能となり、バグロイヤーに占領されたアフリカの国々を次々と奪回していた。サンディスト、ユーストもマーベルの指導の下徐々に腕をあげてきている事もある。彼らと別動隊でドラグーン・フォートレスからブレスト、ヴィータスト、スフィンストが出動。特にブレスト・ブルへのコンバージョンが猛威を振るうのであった。


・かくして2隻はタンザニアまで進軍し、その夜にとの事で玲也たちはフェニックスへと足を運ぶ。シャルとウィンはメルにマーゼストの合体用のプログラムを手直ししてもらっている間、玲也はマーベルへ会いに行く。彼女はお前のような子供が隊長になるとはと相変わらず憎まれ口をたたいているが、ステファニーが自分に懐いている様子を見ながら、彼女も彼の成長を認めている様子はあった。彼女が自分以上に懐いていることについて、彼女は玲也の強さを認めているのだろうと……。だがサンディストとユーストの活躍に対してロクマストはどうかと玲也はマーベルへ尋ねてみると、彼について正直この間退院してフェニックスが引き取っているが正直使い物にならないとの事。どうやらオーストラリアでの敗れたことから恐怖に取りつかれてしまい自室へ閉じこもっている状態だったのだ。


・玲也はロディの事が心配になり、彼の部屋へ訪れるとロディはおびえた様子ながら自分に同情しないでくれと彼を拒む。自分は大統領の息子として家に泥を塗るような戦いが出来なかったはずだが、それが出来ない苦しみを何も背負っていない貴様に分かるわけがなかろうと突っぱねられる。これに玲也は少し頭にくるが、アクリカが彼を半ば強引に部屋から引き離す。彼女はあんたが怒るのもそりゃ分かることで、あたしだって頭にきてる。ただあいつは自分が大統領の息子としての重圧から逃れるようにオンラインゲームへ没頭していたことが切欠でプレイヤーとして選ばれてしまったのだと彼の背景を知らされる。正直ロディからすれば、自分がハードウェーザーのプレイヤーにオンラインゲームから抜擢されることは思ってもいなかった。だが家からはむしろ名をあげる機会だと志願を半ば強制され、彼自身も政界がダメならプレイヤーとしてなら上手くいくかもしれないと思っていたが現実の壁は厳しかったのだと……。アクリカ曰く彼は本当は自分の才能がないと痛感しているようだが、家の面子から尊大に振舞わざるを得ないという。


・そんな玲也とアクリカの元にイギリスチームがやってきた。アトラスがロディの部屋へ入る傍ら、クレスローはアクリカと一緒に別の場所へ行く。彼女は玲也に対してお前は完璧すぎるから分からない話かもしれないなと意味深なことを言いながら笑い、クレスローと談笑しながら歩く様子は、二人がまんざらでもない様子に見えた。一人取り残された玲也だが才人から護衛の交代時間を過ぎていると突っ込まれ、慌ててドラグーン・フォートレスへと急いだ。


・それからサンディストと共にフォートレス近辺の護衛と警備に当たるクロスト。砂漠との事もありクロストが一番有用との事で玲也が選んだのだが、それと別にエクスならロディの悩みがわかるかもしれないと話したかったのもあった。エクスの父と兄はゲノムの軍人であり現在もバグロイヤーを相手に戦っているとの事らしい。エクス本人だが父は兄へ代々軍人として続く家系として厳格に育ててきたそうだが、エクスに対しては寛容だったという。それも彼女が女である為軍人としての教育は必要なく、それよりも社交界でふさわしい女性として育てようとしていたという。ただエクスはこの父の想いを理解しながらもどちらの道も目指すことを選んだ。それは彼女が幼くして母を失った事で父や兄へその分依存していたのもあったかもしれないと自嘲しながら、自分も同じ道を選んで軍人として女として相応しくなりたかったという。彼女は謙遜しているかどうかわからないが実際の所幼年士官学校で優秀な成績を収めていたそうで、社交界のたしなみも一流だったとの事らしい。普段の彼女を見ると玲也は若干苦笑いを浮かべていたが、ただお前が頑張っているのは俺も良く見ていると素直に称賛する。その為エクスは喜んで彼に抱き着く訳だが……玲也は彼女を押しのけつつ、自分の家に誇りも名誉もなく同じ道を歩めとの圧力もなかった。ただ自分もエクスも親と同じ道を自分から歩もうとしている事は同じだなと少し頬が緩んだ。だが肝心の仕方なく期待に応えようとするロディはどうすればよいのだろうかと……


・その頃ロディはアトラスと共にキリマンジャロの麓へ訪れていた。その麓付近には戦災孤児たちを収容する施設が存在しており、アトラスはよく孤児院へ訪れることを趣味としており、この戦火の中で戦災孤児が増えていく中で自分たちが少しでも子供たちの希望になることが出来ればよいと思っていた。彼がロディを子供たちに紹介すると彼らはロディもハードウェーザーのプレイヤーなのかと尋ねられ、彼が躊躇していた所アトラスは自分と同じくらい強いプレイヤーだと彼を紹介する。これにロディは何て事をいうのかと小声で突っ込むが、アトラスは僕も君と似たような立場で国の誇りを背負って戦っているけれども、その実力はプレイヤーで下から数えた方が早い。今もまたユースト、サンディストに追い越されそうだと苦笑する。正直自分が情けないとは思うし、プレイヤーをやめたい時だってある。けれども、こう子供たちと戯れていると彼らの未来を守るために頑張ろうとまた思える気持ちを素直に明かす。ロディはクレスローとアクリカが楽しんで戯れているのに対して、自分の心は晴れない。それは選ばれたプレイヤーとしてどうすべきか見いだせてないのかもしれないと……。


・だがその時キリマンジャロの収容施設に向けてバグジェッター・バグスカイヤーの群れが襲い掛かってきた。トループ率いる天空軍団は超常軍団との共同戦線で支配下に置いていたアフリカから子供たちを拉致せんと施設を襲っていたのだ。全てはセントクロスがミュータントの候補者になる子供たちを選ぶためである。バグスカイヤーを率いるダバ達が空爆を開始する中、アトラスはロディとアクリカを転送銃G1で送り、すぐさまロクマストで出撃してほしいと頼んだ。そしてわが身を顧みずにアトラスとクレスローは子供たちの避難を進めるものの、空爆による爆発にクレスローが巻き込まれてしまう。


・この状況でクロストとサンディストだが、超常軍団のアオラ、ディーヴァらハーグ姉妹が駆るバグレイン、バグブレラの2機に襲われていた。この2機はレイニービット、ブレラービットと2種類の異なるビット兵器を駆使し、バグレインはバグレラら味方らを平然と巻き込んでまでクロストを攻撃するといった無差別に相手を仕留める戦法を駆使しており、一方バグブレラはブレラービットによるバリアーを利用して、サンディストを捕縛していた。バリアー内のサンディストへ電撃が襲い掛かる。ディーヴァは下手な真似をするとサンディストは無事ではないと脅迫。この状況でクロストは何もできずバグレインのビット攻撃を一方的に受ける。ゼット・フィールドすら張ることも許されない状況だった。


・そのさなかフェニックス・フォートレスへロディたちが転送されるも、事情を知ったマーベルから、説明している暇があるならすぐに電装して来いと怒号を飛ばす。目の前のクロストとサンディストはハーグ姉妹に苦しめられており、ユーストとスフィンストはインターバルを完了していない為自分しか出動することが出来ないからだ。ロディは震えながらもアクリカから檄を入れられてキリマンジャロへ転送。すぐさまバグスカイヤーの群れに応戦しながらもアトラスとクレスローを見つけてすぐさま彼らを転送させる。最もバグスカイヤーの群れに地上ではロクマストが不利な状況かと思えば、手が空いていたヴィータストが駆けつけた。シャルは塗装の違うダバの機体を倒せば統率が乱れて倒すのは容易になるとみて、彼の機体へと突っ込む。ダバ機がエネルギーキャノンを反射するコーティングが施されている。すぐさまヴィータストはエレクトリック・トンファーを展開して突っ込むと、アイゼンデネブラーの二刀流ではじき返される。この反動を活かして空中でヴィータストがダバ機の頭上を取るも、彼は専用の鞭・アイゼンパイチェルでヴィータストの動きを拘束しようとした。最もこの時を待っていたとヴィータストからポータルシューターが分離。すかさずリニアシューターを放ちコーティングが加工された装甲を粉砕。露出した内部機器に向けてエレクトリック・トンファーを突き刺して電撃を浴びせることでダバ機を粉砕。ダバの戦死でバグスカイヤー編隊は統率を失いながら撤退していった。


・一方クロストはサンディストを人質に取られて危うい状況に追い込まれていた所、玲也は「ハードウェーザーを狙っているのならばエクスの身柄は渡す」と突然宣言しだした。これにアオラは降伏しているつもりならばそれでよいじゃないかと攻撃の手を緩めるも、ディーヴァは信用することが出来ないと警戒していた。ならばとダメ押しでクロストはコクピットのハッチを開けてみせると、アオラがハードウェーザー一人を生け捕りにすればセインクロス様が喜んでくれると我慢しきれずにバグレインで飛び出してきた……が、そもそもクロストが胸部を展開した中にはクロスト・ワンが健在なのである。ハッチから上空へクロスト・ワンが飛び出し、バグブレラの背中に備わったビットの誘導機をバスター・イレーザーで粉砕。さらにクロストへバグレインがとびかかった様子を見て、地中に仕込ませたアビスモルを爆発させることでクロストのアーマーごとバグレインを巻き込んでみせた。誘導機を破壊されたことでサンディストが脱出に成功するも、目の前で姉を殺された事でディーヴァが激昂。クロスト・ワンに向けてビームマシンガンを乱射し、両手足を撃たれて地面へ叩きつけられる。姉の仇とバグブレラのビームナイフがクロストのコクピットに向けて振りかざそうとしたその時……レスリストが転送されてジャストビームランサー二刀流がビームナイフを受け止める。しかしクレスローが爆発に巻き込まれて重傷を負っている中での電装であり、すでにレスリストにエネルギーは残されていなかった。それでもビームランサーでバグブレラを縦一文字に切り裂くも、同時にバグブレラはビームマシンガンを連射しながらビームナイフを投げつけ、レスリストのコクピットがハチの巣になり、ナイフが貫かれてしまう……


「あいつと良い感じだったのによぉ……」

「結局、互いにうまくいかないね……」


・女の事、名誉の事結局どっちもうまくいかないと二人が苦笑していたさ中レスリストが爆破四散した。ディーヴァはこの爆発によってクレスローが宙にあおられている様子を目にして、彼女が飛び出してセントクロスの為にとクレスローを超能力でテレポートさせるも、自分も爆発に巻き込まれて消えていった。



・七大将軍との戦いでとうとう犠牲者が出たことに玲也達は強い衝撃を受けた。ただ事切れたアトラスの表情はどこか穏やかそうであり、ロディは彼の表情から察して、今まで自分が名誉やプライドで自分を守りながら結局何もできなかった、何もしようとしなかった事への非を涙ながらに彼の亡骸に詫びる。そんなロディに対してマーベルが胸ぐらをつかんで思いっきり殴り飛ばす。そう思うのならば何故もっと早くそうしなかった……と。だが同時に悔やみ続けるロディに対して、自分が徹底的にしごいてやるから覚悟しろと彼女なりの檄も飛ばしていた……。その後ロディは玲也にも今までの無礼を詫びながら、アトラスは自分と同じような事を悩みながらも、それでも必死に成し遂げようと戦って力尽きたのだと明かす。穏やかなアトラスがその裏で苦しんでいた事を考えると玲也の目から自然と涙がこぼれていく。レスリストの分まで戦ってみせる、だから今は安らかに眠ってくれと……

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