第21話「父よ、好敵手(とも)よ……!太陽系最大の戦い」~ストーリー構想など~

・天羽院は元々電次元へ派遣された使節の一人であり、ブレーン博士の門下生としてロボット工学の若き天才とまで呼ばれていた。だがブレーン博士は秀斗を推挙したことについて、特に学歴もない単なるゲーマーの秀斗が自分と同じ使節との事にプライドを傷つけられ、以降一方的に秀斗へ張り合い続けてきた。


・それから惑星ゲノム、アージェス地方の交流の中で、紛争やテロが続く地方との交渉が課題となり天羽院は軍事行動を主張したが、秀斗は相互理解を主張して真っ向から対立した。ゼルガは秀斗のやり方に一理があるとして彼の意見を選び、これに不服だった天羽院はゼルガの父を暗殺し、秀斗に濡れ衣を着せようとするも失敗。アージェス地方から逃亡して姿をくらまし、紛争が多発しているトレントス地方へ亡命。それからバグロイヤーが旗揚げされ、電次元界を支配下においた後天羽院の入れ知恵で太陽系への侵攻が開始されたが、ハードウェーザーが投入されたことにより戦局は膠着。これに天羽院はハードウェーザーのデータを収集する為地球へ敢えて戻り、バーチュアスグループの実権を掌握して表向き電装マシン戦隊のスポンサーを務めながら、裏でハードウェーザーのデータをバグロイヤーへ流していたという。そしてハードウェーザー同士が戦う状況を作り出す、大気圏内で戦闘を勃発させることで世間の不安をあおり、やがてハードウェーザー同士の出来試合だと告発することで社会的にハードウェーザーの抹殺を試みた。最もそれはあと少しの所で頓挫して、逆に自分がバグロイヤーの人間と告発された訳だが、既にデータの収集は完了しておりひとまずの目標は達成した。撤退の間際に彼はアポカリプスを日本めがけて落とそうと目論んでいた。日本へ落とす理由は秀斗の息子玲也が父を探すためにプレイヤーとして現在戦っていることにあった。彼に代わって息子の秀斗へ報復せんと彼がバグロイヤーの人間だと濡れ衣を着せて玲也を社会的に抹殺しようと目論んだのだが……。


・そして今世界各国のハードウェーザーが現在各地で応戦しており、彼らの一大攻勢を阻止せんとする。玲也はネクストでシャル達との合流ポイントへ急ぐ。なおネクストを選んだ理由はスフィンストの強化支援用としてのデータについてシャルが途中で拉致されてしまった為、ネクストとのコンバージョンしか用意されていなかったのもある。また才人をぶっつけで任せることは危険だとして、このコンバージョン状態で出撃、実質玲也が操縦を担当して才人にはとりあえず見て覚えさせようとする意図もあった。スフィンストのコンバージョンはシュナイダークローとヒートドリルバンカーの2つの武装がネクストへ合体する。この武器を駆使しながら合流ポイントを阻むようにして現れるバグロック達を蹴散らしていく。


・そしてアルファ専用バグロックが現れるもの。彼のアイゼンドリンゲンやアイゼンハーケンは素早く、まだスフィンストのコンバージョンに慣れていない玲也たちはネクストの動作に遅れが生じていた事もあり苦戦を強いられる。その折背後からイーテストが投擲したグレートクラッシャーが命中しバグロックが爆破四散。しかしアルファは所詮バグロイドでハードウェーザーに対抗することは出来ないと悟っていたようで、ワルキューレストが出現する。アルファは以前の戦闘で深手を負ってサイボーグ化手術でプレイヤーとして復帰しており、さらにサイボーグ化に伴いハドロイドを遠隔操作する能力を手にしている為、自分たちを遮るバグロイドの群れは彼を打倒する事で活動を停止するという。だがアルファと共にいる相手が父なのか……との葛藤が玲也の脳裏に過る。ニア達から父を乗り越えるための戦いと覚悟はできていたのではと諭されて冷静さを取り戻して応戦するのだが、ワルキューレストの攻撃に対してネクストはシュナイダークローのシールド機能でしのぐことがやっとだった。やはり機動力が落ちている事で対処しきれていないのではと玲也は考え、実際イチがまだ制御に慣れていない様子でもあった。そんな折、才人は機動力が落ちているのなら軽量化すれば何とかなるのではと、思い付きでヒートドリルの先端を射出した所……まさかワルキューレストのコクピットに突き刺さってしまった。このまぐれ同然の事態かつ、父が巻き添えになりかねない事態に玲也は焦り、電次元サンダーを利用してドリルを回収する。するとコクピットの亀裂からは秀斗の顔にひびが入っており、そのひびの下からはハドロイドはアルファの部下が扮していたにすぎないことが判明した。目の前のハードウェーザーに父はいない。この事に一抹の安心を覚えつつも、父を利用したことでの玲也の怒りが爆発した。速攻で勝負するとスフィンストをパージ。亀裂めがけての電次元サンダーがワルキューレストへ炸裂して、怯んだ彼に対してアサルト・ザンバーが突き刺さりアルファごとワルキューレストは爆散した。何とか合体させてスフィンストを動かす才人は自分が初操縦なのを分かってくれと突っ込まれるが、あの状況で本当に父が乗っていたらどうするのかと頭を冷やせと言わんばかりの態度であり、玲也は少なからず呆れるとも怒るともの心境だった。


 だがワルキューレストを退けた事でバグロイヤーの編隊はほぼ無力と化した。抵抗する一部の面々を退けた上で合流ポイントにはデュアル・メメント・モリの姿が……シャルとウィンが無事だったのを捉えて玲也達は安心する。シャルからゼルガ達が自分たちの味方であると告げられるも、オール・フォートレスがデュアル・メメント・モリへ接近する。この様子に警戒する玲也達だが、メガージからは戦闘を継続する意思はないとの事だった。既にエスニックから彼の降伏を受諾したとの指示が届き、オール・フォートレスはデュアル・メメント・モリへ接触する。ゼルガが不在の状況かつアルファが深手を負っていた事でサーディーが実質司令官として君臨したとの事。だがアルファは彼に従うように改造され、サーディーがブラディら後ろ盾を持つ上流階級たちに権力を掌握されることへ前線の兵士たちが反発した事、これ以上戦争を継続する事がゲノム側を滅ぼしかねないと危惧して、ゼルガの反乱に呼応するように蜂起したのだという。メガージはゼルガを評価していたが今まで彼の為に協力することが出来なかった事を詫びるが、ゼルガは彼もまた自分の友の一人だと迎え入れた。


・かくして太陽系の前線部隊がゼルガの指揮のもと戦闘を放棄するかに見えたが……降伏を装った一隻の艦がオール・フォートレスへ攻撃を仕掛けてきた。天羽院は最後の作戦として、それまでステルスで隠していたアポカリプスを日本めがけて落とすことを開始したのだ。この状況で最も近くにいたのはイーテストだが、彼だけではアポカリプスを粉砕するのも間に合わない。ゼルガは玲也へクロストなら何とかなるかもしれないと策を提案。玲也は彼の策が一理ありうると指示に従いクロストへ乗り換える。ヴィータストとスフィンストにこの場を託してリキャストと共に電次元ジャンプを挑む。


・かくしてクロスト、イーテスト、リキャストの3機が集った。ゼルガの指示でグレーテスト・キャノンとバスター・スナイパーがアポカリプスに命中し落下軌道を変えることに成功。それでも巨大なアポカリプスがドラグーン・フォートレスへ直撃する事態が差し迫っていた。これにゼルガが電次元ブリザードと電次元ソニックを同時に放てとの指示が降り、同時に掃射する事でアポカリプスが巨大な氷塊と化して亀裂が入り始める。この状態なら粉砕する事は容易との事で、バスター・ドリルバンカーとグレートクラッシャーのドリルによる同時攻撃で氷塊と化したアポカリプスは粉々に砕け散り、アポカリプス落としの恐怖は去ったのだった。天羽院の姿はその後捉えることが出来なかった。だがゼルガは玲也とアンドリューへ二人のおかげで地球の危機は救われた事を称賛し、玲也もまたゼルガに対して今まで疑いを持っていたことを謝る。これにゼルガはこれからお互い分かり合えれば良いと笑うのだが、同時にこのままそう時が許してくれるのかとの懸念もあった……。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る