第19話 初めての街

街に近づくにつれ、他プレイヤーが目に入るようになってきた。1人で歩いている人もいるが、PTが多い。楽しそうに話しながら歩いている。リア充め。種族も、ニンゲンにエルフ、ドワーフ、ドラゴ、ワーキャット、ワータイガー、ワーウルフ・・・尚、NLJOのキャラは、基本はニンゲンの顔で、耳や角等がある程度の違いだ。ステータスや種族特性はあるけど。中には通常選べない、吸血鬼や天使、悪魔といった種族もある。ハーフデーモンは選択できるけど。


街に来たものの、何をしていいか分からない。何処かのグループ、ギルドとかPTとか入って、初心者に混じって色々教えてもらえれば楽なのだけど・・・基本受け身。ぼっちなめるな。


大きめの広場に、ポツンと座ってる人がいる。おっちゃんだ。レベルが低そうなので、古参ではなさそうだが、昨日今日始めた訳でもなさそうだが。キャラの上にのぼり・・・チャットルームの看板が建っていて、タイトルが『初心者歓迎、固定PTM募集』と書いてある。周囲に、こちらは一目で初心者と分かる人が数人座ってる。キョロキョロしてると声をかけられた。


「こんにちは。君は始めたところかい?」


「あ、はい」


まだ半年もやってないしな。


「よければ、固定パーティーに入らない?色々教えるよ?」


「固定パーティ?」


パーティに固定とか変動とかあるのだろうか?そんな設定あったかなあ?


「うん。PTを崩さず、緩く関わる感じかな。戦い以外でも組んでおいて、雑談したり、色々助け合ったり、勿論狩りもしたりね。ギルドの前段階、的なイメージだね」


それはありがたい気はする。情報は欲しい。


「あ、システム用語で分からない事があったら何でも聞いてね?」


いい人そうだし、入れてもらおうかな。


「助かります。始めたところで何も分からなくて」


俺がそう返すと、おっちゃんが頷き、要請を送ってきた。


<PT『リヴァイアサン討伐隊』から加入申請が来ました>


いきなりハードだな??!!!


とりあえずOKする。初心者の振りしている以上、ここで躊躇する訳にはいかない。


<『リヴァイアサン討伐隊』に参加しました>


PT情報を表示してみる。


ライト ニンゲン 男 Lv.72 ナイト Lv.24

レイ ワーキャット 女 Lv.1 アコライト Lv.1

ユウタ 男 ワードッグ Lv.1 アコライト Lv.1

サクラ 女 ドラゴ Lv.1 ファイター Lv.1

エレノア 男 エルフ Lv.1 メイジ Lv.1

トキ 女 魔族 Lv.1 マーチャント Lv.1


レア種族がいる。後は、オフラインのキャラが数名。こちらは、初心者ではないレベル。


ライトがPTチャット、PTにしか聞こえないチャットで話しかけてくる。


《初めまして。俺はライト、ナイトをやってる。分からない事があればなんでも聞いてほしい》


《初めまして。私はシルビアです。アーチャーとソードマンをやっています。よろしくお願いします》


レイが話しかけてくる。


《こんにちは。アコライトのレイです。シルビアさん、レベル高いですね》


今表示は、


シルビア ニンゲン 男 Lv.14 アーチャー Lv.12 ソードマン Lv.8


となっている。高くない。


《初めまして。ユウタです。私もアコライトです。回復職が2人もいて申し訳ないです》


《いやいや、回復職多いと安心するし、楽に狩れるよ。それにアコさんはゲームの宝だよ。みんなお世話になるんだから、大事にしないと。アコさんはレベル上げ大変だよね》


ライトがフォローを入れる。いや、普通にサブに戦闘職つければいいだけだし。昔は確かに、アコは最初苦労したなあ。クラスチェンジしてプリーストになったら引っ張りダコ。


《俺はサクラ、ファイターだ。バーサーカー目指してる。よろしくな》


気のいい姐さんって感じだ。


《エレノアです。メイジです。よろしくお願いします》


ペコっと挨拶する。


《トキだにゃー。非戦闘職だけど、お役に立てるよう頑張るにゃー》


非戦闘職仲間だ。でも、サブに戦闘職付けるという手があるからね?こだわりあるなら仕方ないけど。


《よろしく》


お辞儀エモを出す。頭の上にコミカルな顔が浮かび、ペコッとお辞儀する。


ライトが立ち上がる。


《さて、そろそろ、狩りに行ってみようか。大丈夫、行くのは初心者用のダンジョンだから》


他のメンバーもライトに続く。初心者用?昨日まで攻略してたアレかな?レベル1ではきつそうだけど。


《この先にある入り口から、地下水路ダンジョンに行ける。最初は城からの隠し通路だったのだけど、ダンジョンマスターが棲みついて、ダンジョン化してしまった。もう隠し通路としても使えないので、通路は埋められていて、初心者の訓練用になっている》


《ダンジョン!楽しそうだね!》


サクラが嬉しそうだ。他のメンバーもわくわくしているようだ。


《シルビアは行った事あるの? 落ち着いてるね》


《いえ、凄く楽しみです》


ボッチ舐めるな。一般的反応って難しいんだぞ。


《凄いレアとか出るといいなあ》


レイが期待を大きくしている。初心者ダンジョンでレアは出ないだろうに。


《さあ着いた、ここから入るよ》


元々は隠し通路の出口だったのだろう。街の裏手の山の中に、洞窟の入り口があった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る