6.最初の事件を起こし、「転」部分の事件を決め、最後に死と再生を配置する(どうぐ:メモ帳)

 「物語の最初には死体が転がるぐらいでちょうどええ」という誰かの言葉を信じています。

 起承転結の転には物語の中核となる事件を。

 最後に死と再生、つまり死亡フラグを立てて折るシーンを入れます。まとまりをよくし、カタルシスを呼びます。


脳内↓

「冒頭にヒロインが足首もげるシーン入れてもいいけど、刺激強すぎるし彼女の人格を知る前だとそんなに面白くないよなぁ。というか登場したヒロインに足がないだけでも読者にとっちゃ大事件か。丁寧に日常を描写すれば充分かもしれん。靴フェチの話だし、『転』の事件は人間に興味ないことがバレることがいいな。靴に勃起したのを見られれば充分か。死と再生は、それによって破局しかかった二人が仲睦まじくなる感じかな。足首もげた日の回想は中だるみした頃ぽっと挿入しよう」



メモ帳に出てきたもの↓

【概要】

「彼女の靴音は菊花に似ていた」

〜靴フェチが人間の彼女も愛そうと頑張る話〜


 事故で車椅子になった靴デザイナーの女性と、その家事手&プロデューサーとして同棲する靴フェチ主人公の恋愛小説。

 主人公はブーツを愛しており、ロングブーツの似合う彼女が好きだった。

 しかし彼女はもう靴すら履けない。その現実を受け入れられないまま日々回想に沈み、惰性で世話をしている。

 女性は「ブーツが好きだ」と言っていた主人公の興味を、ブーツをデザインし続けることで繋ぎとめようとしている。

 このズレにお互い気付けていない。


 華美な表現で主人公が回想に耽るパート、淡々とした文体で現在の出来事を綴るパートが交互に展開される。

 物語の進行と共にその区別が淡くなり、伴って主人公の気持ちの整理もついてくる。

 最後には現実を受け入れ、新たな気持ちで彼女を大切にすると誓う。

 

 文体の変化と美麗で読ませ隊。

 総文字数二万時程度。


【粗筋】

-起

 主人公が庭の菊を摘み、香りや味を楽しむ。恋人から離れ物思いに耽れる数少ない時間。

 「僕、ブーツが好きなんだ」と恋人に言ったときのことを回想。

 恋人のロングブーツ姿がどれほど美しかったかの回想。

 過去の彼女の説明。芸術に縁のないごく普通の短大生。

-承

 主人公は菊を花瓶に生けたのち、彼女の部屋に戻る。

 彼女は新作の靴の図を印刷しながらメールを打っている。

 「『うちの工場じゃこの布でこのコサージュは縫えない』なんて企業努力が足りないのよ」

 舌打ちする彼女を宥め、印刷物をクリアファイルに詰める主人公。

 現在の彼女の説明。売れっ子靴デザイナー。足が欠損している。


(中略)


-起

-承

-転

 綺麗に並べられたブーツにも生唾を飲む。

 ものすごく久しぶりの「ときめき」を感じる。

 (直接的に勃起を描写するかは要検討。車椅子の高さなら股間は目の高さなはず)

 ふと気付くと、彼女は隣で声を殺して泣いていた。

 (自分の勘違い、主人公の靴フェチに気付いてしまう)


-結

 彼女「ごめんね。綺麗な靴履けなくて」 

 主人公「そんなこと言わないで。靴を履こうと履けなかろうとキミは綺麗だよ(大嘘)」

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