ファミレス不倫物語

第1話 女たち。

土曜の昼下がり、私は４人の友人たちとファミレスにいた。

いい歳の女たちが、ファミレスで駄弁る様は、あまり見た目に良いものではない。

女五人集まれば何とやらで、まわりを気にする事もなく、皆好き勝手に口を動かしている。私はそれを見て、心の中でため息をつく。

（毎度のことだから、仕方ないか……）

談笑の内容は、決まって恋愛話となってしまう。

いや、最初は皆、仕事やらの近況報告から会議は始まるが、ものの１０分も経つと、我慢し切れないように話は移り変わっていく。

結婚している者、独身の者、離婚の危機の者、などなど。

皆、立場は違えど、何かしらの生活の変化を暴露し、ストレスを吐き出し、時には笑い合うエンターテインメントな場であるのだ。それなりに楽しいといえば楽しいのだが。

私の名前は、『生田詩織　（いくた　しお）』　３８歳。

高校の教師であり、人生で一度も入籍していない。いわゆる独身というヤツだ。

今日も今日とて、恋愛に勤しむ彼女たちの、一番の聞き役にまわってしまうのは、仕方のないことだ。

やれやれ。

それでは、一番の方、いってみよー！

なんて高いテンションなど上がるはずもなく、首をわずかに上下に動かす程度に相槌をテキトーにうつとするか。

まずは、誰の恋愛話から始まりますかな……？