天使の肖像

双樹 沙羅

序章

序章

 栗色の髪に白い肌。

 花束を抱えて微笑む少女の背には、白い翼。

 大きなキャンバスに描かれた天使の絵の前で、彼は泣き崩れる。

澄心すみこ……」

 泣いて、泣いて、それでもまだ涙は尽きることはない。

 この絵を描かなければ良かったのだろうか。

 二人で微笑みながら創り上げたこの作品は、呪われたものなのだろうか。

 だからといって、この絵を処分したところで、何も戻りはしない。

「澄心……っ」

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