第3話 義弟と仲良くなりました。
あれから1年。
私は無事7歳を迎え、カロンは6歳となった。
おやつ大作戦は成功し、カロンは平均の体重より少し軽いくらいまでになった。
カロンはすっかり私に懐いてくれたようだ。最近はずっと一緒にいる気がする。
「ねえさま、ねえさま」
カロンは私を一生懸命どこかへ引っ張っていく。
「カロン、私の手がとれちゃうわ」
そういうと少し硬直し、少しスペースを落とした。
カロンへついて行ったらそこには綺麗なラベンダーがたくさん咲いていた。
「うわあ、きれい…!」
カロンは満足気な顔をした。
きっとカロンがお母様と一緒に育てたのだろう。
「カロン。とっても素敵。見せてくれてありがとうね。」
そういって頭を撫でると、カロンは嬉しそうに笑った。
ある日、とある事件が起きる。
まぁこれは私がある程度心配していたフラグが見事成立したというか、まぁそこらはまとめて話そう。
ある日私はカロンに呼ばれて、カロンの部屋へと向かった。するとベットの上でカロンはぐだっと横たわっていた。
「…カロン…どうしたの?」
私はいつもの通りカロンのベットに潜り込み、ぎゅっと後から抱きしめた。
あーあったかい…最近寒い日が多いからさあ。
と、そんな呑気なことを考えていた。
そして事件は起きる。
「……ねえ、さま」
突然カロンは私の方へ向くと、うるうるした瞳で私を見つめた。
「…カロン……?」
恐らく、孤児院の時のことを思い出して気持ちよくさせようとしているらしい。
カロンの手は私の下半身に伸びて…
私はそっとカロンの腕を掴んだ。
「…カロン。」
カロンはまさか手を掴まれるとは思っていたなかったらしく、目を白黒させていたが、拒否されたと気が付き酷く傷ついたような表情をした。
「ぁ……ねえ、さま、あの、」
「カロン。このおてては、とっても素敵ね。」
少し震える手を優しく撫でる。
「あのラベンダーほんとうにすてきだったわ。また見せてくれる?」
にこって笑うと、カロンは小さくこくんっと頷いた。
「…これがあなたにとって大切な行為であることはわかるわ。」
カロンはびくりと肩を震わせた。
「別に怒っているわけじゃないのよ。でもね、こういうことはあいしあうひととやることなのよ。もちろんわたしはあなたをあいしているけど、愛ってたくさん種類があるの。いつかカロンにもわかるわ!」
カロンは私の腕をぎゅっと抱きしめると、小さな声で「ごめん、なさい」と言った。
それからはカロンにそのようなことをする様子は見られなくなって。物分かりがいい子なんだなととても誇らしくなった。
それと同時に、私にくっつくことが多くなったような気がする。
夜、怖い夢を見ると言って一緒に寝たいと言い始めて2人で寝ることが多くなったし、
私がどこかへ行こうとすると絶対に手を繋いで離そうとはしなかった。
私としてはとても嬉しい限りである。
今日も今日とてカロンは私の手をぎゅっと掴んで離さなかった。
そしてある日、私は婚約者と面会の日がやってきた。
相手は王族の血を薄く受け継ぐ公爵家の息子らしい。
私と同い年の優しそうな少年。
セリーナにも婚約者いたんだぁと思いつつ、少年に挨拶をした。
「ごきげんよう。私はセリーナ・アルドリア。」
「僕はキース・マーレスティス。よろしくね。」
ずっと差し出された手は女の子のものではないかと見間違うほど美しかった。
その華奢な手を取り、私とキースはしばらくお話をしていた。
そこへひっつき虫こと義弟のカロンがやってきた。
どうやら母というバリケードを乗り越えてやってきたらしい。
「…ねぇ、さま!いなくて、寂しかった…。」
そういうと、私にぎゅっと抱きつく。
あーーーーーーー可愛いいいいいい!!!!!何この子天使すぎぃ!!!!!!!尊死尊死マジ尊死。
なるべく心の声を出さないようにして、泣きかけている義弟をお膝の上に乗せると。再びキースと語らった。
彼はとても素敵な人だった。
物腰が柔らかくて、私の話をうんうん、と聞いてくれる。
カロンが乱入した時もにこやかな顔で見つめていた。
そうか、私はこの人と結婚するのか。
あぁ、でもお互いに想い人が出来た場合は婚約破棄を約束したから、もしかしたら違うかもしれないけど。
それでも友人として仲良くしたいと、そう思った。
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