第四十三話 働くって大変

 単刀直入に言うと、私が役立たずだと言う事がよくわかりました。

 開始早々、私たちの露店の前には人だかりが出来てしまった。

 ここで買い物ができることを皆とても楽しみにしていたようで、来てくれたお客様はみんな終始笑顔に包まれている。

 そんなにツバサさんの作ったものは有名なのだろうか。

 人が多くて大変な事になるだろうと予測していた私は焦ったが、ここにいる皆は慣れているため落ち着いていた。

 四人のチームワークが良いのか、慌てている様子を今の所見てはいない。

 手際が良く、キレイに人をさばいているのは本当に感心する。

 店の客が落ち着いて来た頃にはもう日は天辺に近づいて来ており、いつの間にか時間が経っていた事に気がついた。


「もう売るものはほとんどないですし、今日はここまでにしましょう」

「おつかれー」


 疲れきっている様子も無い涼しげな四人の顔に、私は心の底からこの人たちが凄いという事を実感した。

 普通は無理だって。こんなに人が押し寄せた数時間を終えても、涼しげな顔をしていられるなんて!

 重要な仕事は任されてはいなかったものの、私は店の前のからくなった野菜などの補充係をやっていたが、ちょっとの移動がなかなか辛い。

 軽いものから重い物まで運んではみたけど、腰にくるものがある。もう腰を手で叩く動作をするのが日常的になってるよ!

 デスクワークのせいで、腰はすぐ痛む様になってしまったからな。だれか私に湿布をください。


「三人は少し休憩をしていてください。私たちは、予定通りゼルギウスさんの元へ行ってきます」

「もう行くのかよ、少し休んだってバレないだろう?」

「なにをいっているんですかセイゴ。日はもう天辺へきてしまいます。大事なことだって知っているなら今行くべきです」


 心底面倒だと言う顔をしているセイゴさんに対して、ツバサさんは溜め息を吐きながらセイゴさんの首の後ろの服を掴んだ。


「では綾様、私たち二人は少しの間抜けますが、極力メイドと行動を共にしていてくださいね」


 そう言うと、いやがるセイゴさんを引っ張りながら、ツバサさんは歩いて行ってしまった。

 私はそんな二人に小さく手を振って見送る。二人は相変わらず仲がいいなぁ。

 目玉のあれってやつ、セイゴさんが出るっていうのならツバサさんも出るのかな。それともセイゴさんが逃げない様に監視役かな。

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