第四十一話 村長さんらしい

「毎回懲りないもんだな」

「仕方ないだろう。俺はああいう、仕分けとか細かい作業が苦手なんだ」


 見た目通りの人なんだ。まぁ見た目からして運ぶ作業とかの方が得意そうだもんなこの人。


「それで、その子は誰なんだ?」


 私の事を言っているのだろう。

 ここには私とセイゴさんしかしないし。

 思わず相手に目を向けると、つい目が合ってしまいあわてて軽く頭を下げた。


「訳あり」

「なんの?」

「俺が言える立場じゃねぇ」

「いや、お前言える立場の人じゃねぇか。お前たちの所で手伝いしてるんだ、色々知っているだろうが」


 私に対しての説明を求めているが、セイゴさんは一向に相手にせず黙々と作業を進めた。


「ゼルギウスさん」


 聞き慣れない名前が、こちらに向かって聞こえて来た。

 声の方を見てみると、そこには笑顔で会釈をするツバサさんの姿があった。

 ツバサさんの姿を見ると、男の人は親しそうに「お久しぶりですね」といってそちらへ寄っていった。

 どうやらツバサさんとも仲がいいようだ。


「綾様、ご紹介しますね。こちら村長のドガン・ゼルギウスさんです」

「どうぞよろしく」

「よろしくお願いします」

「どうせ、セイゴは紹介もなにもしてくださらなかったのでしょう。全く」

「いやいや、私が急に現れたのがいけませんからね」


 苦笑いをしながらいうゼルギウスさんは、セイゴさんがどういう人なのかわかっているようだ。

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