第2話、『 馬鹿 』の定義
『 馬鹿 』と『 アホ 』。
どこが、どう違うのか、よく分からない方もいらっしゃる事かと・・・
定義的にみれば、実際は同じ・・ てゆ~か、同じ穴の狢、と言った方が良いかもしれない。 だが、私にしてみれば、断じて違う、と明言しておきましょう。
そもそも、馬鹿とアホの定義ですが、まあ、詳しくは広辞苑でも引いて頂ければ、お分かりかと思います。
・・・すみません。 広辞苑などと、古くさい名詞を述べてしまいました。 実は、子供の頃から『 広辞苑遊び 』を、よくやっていましたので・・・
今のご時勢、ウィキペディアですね。
『 広辞苑遊び 』とは・・
ある単語を広辞苑で引きます。 その解説を読むと、たいていの場合、「 ? 」と言う語句が含まれています。 次は、その語句を引き、意味の解説を読みます。 すると、また「 ? 」となりますので、その作業を、延々と続けて行くのです。
結構、雑学の勉強になり、楽しいのです。 アホだから・・・
ウィキペディアの場合、情報量が膨大なので、イッキに疲れますね。 やはり、広辞苑が『 適量 』かと。
さて、本題から外れてしまいました。 すみません、アホなもんで・・・
馬鹿とアホの定義についてですが、それぞれ、ヒトによって解釈も、認知も違う言葉だとは思います。 地方によっては、そのイメージすら千差万別です。
私の定義を述べさせて頂きましょう。
「 馬鹿は、死ななきゃ治らない 」
死んだら、治るハズなど無いのですが、この表現に尽きるでしょう。
強いて言うならば、もう1つ。
「 馬鹿に付ける薬は無い 」
イイですね・・! この、全ての煩悩を取り払ったかのような、割り切った言い方。 まさに、悟っているかのようであります。
つまり、再生( 更生 )不可能な者を、得てして「 馬鹿 」と、私は認知しております。
勉強が出来ない者を「 馬鹿 」とは呼ばない。 勉強が苦手な者も然り、です。
何故に呼ばないのか? の答えは、後に書くとして、馬鹿呼ばわりされた経験のある、私の学生時代の話を1つ・・・
高校時代、私は数学の教師に「 お前は、馬鹿だ! 」と言われました。 今だったら、個人擁護・人権侵害などの観点から、下手をすると名誉毀損で訴えられかねない暴言であったと言って良いでしょう。
ただ、今を遡る事、昭和50年代初頭・・・ 教師と言う職業的地位は、現在の状況よりも遥かに上だったように思われます。 小学生の頃など、学校から家に帰って来て「 先生に、ビンタつられたぁ~ 」と親に言うと、「 先生に、ビンタつられるとは、何事か! 」と、また親に叩かれたものです。
当時、先生という職業には、異種独特な『 特権 』があったように思いますね。 親の年代からすれば、面識がある・無いに関わらず、先生と呼ばれる職業は、一目置く存在の職種だったはずです。
・・さて、話しを戻しましょうか。
実は、私は、小学校の頃から『 算数 』が苦手でした。 中学に入る頃には、ハッキリと「 嫌い 」と言えるようになっていました。 何故か・・?
決められた方程式に則り、計算を進めていくと答えが出る・・・
その面白さは、理解出来ました。
( でも、それって・・ ただの『 計算ゲーム 』じゃないの? )
それが、幼い頃の、私の思想でした。
勉強とは、将来、社会に出た時、世を渡って行く際の知恵を付ける為にするものであって、決して『 遊び 』ではない・・ いや、遊びであってはならない。
それが、幼いなりの『 定義 』だったんです。
だから、単なる『 計算ゲーム 』は、どうしても納得出来なかった・・・
そして小学校の時、最初に躓いたのが、□( カッコ )の問題。
( 問、1 ) □の中を求めなさい。
□-3=2
この問題に対し、当時の女性小学校教師は、こう言いました。
「 いいですかぁ~? このよ~に、□が出て来た時はぁ~、引く( マイナス )だったら足して( プラス )、かける( × )だったら、割る( ÷ )んですよぉ~? つまり、逆のコトをすれば良いだけなんです。 いいですね~? 」
このレクチャーが妥当だったかどうかの判断は人それぞれですが、私には、ナンで逆の事をしなくてはいけないのか? が、全くもって分かりませんでした。
計算した結果から算出されている数字があるのだから、その逆をすれば良いワケで、その辺りの説明をしてくれていれば、当時の私だって、理解していたかもしれない。
はたして、きょとんとしている私に、先生は言った。
「 言われた通りにすれば良いのよ? 分かった? 」
理解出来ていない事に対して、従わなければならない・・
それが、当時の私には、大変に苦痛でした。
私は、理解しようとする努力すら放棄しました。
クラスの皆は、キチンと先生が言われた通りに計算行動をし、正解を導き出していく。 かくして、私は取り残された・・・
数学は、積み重ねの学問です。 基本が理解出来ていない私など、次のステップに上がれるハズも無い。 分数問題が登場した来た時などは、宇宙人の文化を研究しているのかとさえ思いました。
( 4つに割ったリンゴの1つを、3つに割ったリンゴの2つで割るって・・ どういう意味なんだ? )
「 分子と分母を、逆さまにひっくり返して計算すれば良いのよ? 」
その意味も分かんない。 何で、逆さまにしなくちゃいけないの・・? 分母は全体の大きさで、分子は、そのものの大きさを表しているんじゃないの? ナンで、それをひっくり返しちゃうの?
正直な疑問を先生に言うと、必ず、答えは一緒でした。
「 とにかく、言われた通りにすればいいの! 」
後に登場した連立方程式、微分・積分、証明問題などは、まさに異世界の研究でしたね・・・
はたして中学を卒業する頃、数学が大嫌いな私が、完璧に出来上がっていたのです。
さて、何とか入試をクリアし、高校生になった私。 嫌いな数学に対しては、『 将来、何の役に立つのか? 』という新たな疑問を派生させていました。 計算方法以前の、メンタル的とも言える疑問です。
ある日、数学教科の成績が悪い私は、職員室に呼びつけられました。
「 お前は何で、こんな簡単な計算式が理解出来んのだ? 」
私は、その教師に、逆に質問してみました。
「 先生。 その計算式が出来たら、将来、何かの役に立つのですか? 」
馬鹿にした訳ではない。 真剣な疑問だったんです。
( 中学じゃないんだ。 きっと、俺が満足出来る返答をしてくれるに違いない )
そう思った私に、教師は答えました。
「 そう言うのを、屁理屈って言うんだ。 お前は、馬鹿だ! 」
私は言いました。
「 先生。 僕は、計算のやり方が分からないのではなくて、将来の生活に、数学が必要とされるのかどうか? が、分からないんです。 本当に必要なら、イチから勉強をし直すつもりです 」
教師は答えました。
「 お前は、数学が出来ん事を、ゴマかしているだけだ 」
クソ頭にきた私は、3日後にあったテストの答案を白紙で出すと言う暴挙に出ました。
今、思えば、えらい大胆な事をやったなと思うのですが、当時の私は大真面目でした ( この辺りが、アホの典型的な行動である )。
名前を書いておけば、1点くらいくれるかなと思ったが、見事に0点。 本当に、0点って取れるんだな~と、ある意味、感動した ( これが、アホ特有の『 シチュエーション無視感覚 』である )。
再び、職員室に呼び出され、またまた馬鹿呼ばわり。 ただ罵るだけなら、ワザワザ呼び出さなくても良いものを・・・
「 馬鹿じゃないって言うなら、それを証明してみろ! 」
教師の言葉に、私は答えました。
「 分かりました。 次の期末試験をみてて下さい 」
はたして、言われた通りの『 数的処理 』をした試験の答案は、85点。
今度は、自分から職員室へ行き、答案用紙を数学教師に見せながら言いました。
「 先生。 僕は出来ないんじゃないんです。 やらなかっただけです 」
教師は無言だった。
私は未だ、中学・高校の授業における、数学の必要的価値が分かりません。 計算の考え方などが、創作・思考・創造の仕方などに加味されるのかとも思えるのですが、実生活では、何ら必要性も感じないし、また、不便さも経験した事が無い。 ・・・まあ、確かに、数学が得意だった者は、暗算も速いが・・・
だが、どうでしょう。 数学の成績だけに関するなら、私は、典型的な落ちこぼれ生徒です。 馬鹿と言われても仕方ない状況でもあるでしょう。 だが、不本意ではあるし、気は乗らないけど、割り切って計算式を解き、それなりの正解を導き出す事は出来るのです。 標準的確率で、答えを間違える事はありますが・・・
さて、数学に例えた話でしたが、勉強が出来ない者・・ 特に、数学を苦手とする者を馬鹿呼ばわりしたくない理由としては、私的に言わせて頂くと、先記の通りです。
本当に『 計算 』が出来ない者は、ごく少数なのでしょう。
私のように、少々、偏屈な性格の者は、実際には結構います。 行き先の決められたレールの乗り方をレクチャーするのではなく、どうしてレールに乗らなくてはならないのか? が、知りたいのです。 「 そうなっているから 」という『 案内 』では、説明になっていない。 おそらく、クラス中で、2~3人は、アタマの中が「 ??? 」状態の者が、いるはずなのです。
馬鹿呼ばわり予備軍が、今日もどこかの学校で育っている・・・
自分が、馬鹿である事すら分からない・・ つまり、疑問に対し、何らかの処置・努力すらもせず、更には、自分が馬鹿だと認識しない( 出来ない )者が『 馬鹿 』なのです。
数学だけに関して言うのなら、その試験の点数などは、言われた通りに計算した『 正確さ 』の単位であるに過ぎない、と私は思います。
・・数学関係者各位、及び、教師の方々、ごめんなさい。( とりあえず、すぐに謝っておくのも、アホの特徴である )
馬鹿とは、自分を馬鹿だと気付いていない者が、馬鹿なのです。
次回は、『 アホの未知数 』を、お送り致しましょう。
ご清聴、有難うございました
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