第9話

すると正人の車も、四つのタイヤが全てパンクしていた。


近くにあった家族づれの車も、四つのタイヤがきれいにパンクしている。


ぼうぜんと見ていると、DQN男がやって来た。


「おいっ。これはいった、どういうことだ?」


「いや、私に言われても……」


「そういや、あの家族はどうなった」


言われてみれば、まだテントから出てこない。


DQN男の声は大きいし、時間的にも出てきてもよいころなのだが。


DQN男は家族づれのテントに行き、中を覗き込んだ。


「うぎゃ!」


DQN男は私が今までに聞いたことがないような声をあげると、後ずさりをした。


私はテントに駆け寄り、中を見た。


――!!


三人は中にいた。


三人とも頭から大量の血を流して。


頭が割れているのが一目でわかった。


テントの中は真っ赤に染まっていた。


これでもし生きていたとしたら、それはもう人間ではない。


思わずその場に立ち尽くしていると、男が言った。


「おい、これはいったい、どういうことだよ」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る