第4話
隣にいたのは家族連れと見られる三人だった。
しかし家族団らんのはずが、まるでお通夜のようにその雰囲気がひたすら暗い。
父親も母親もそうだし、小学校低学年と見られる男の子も同様だ。
私は強い違和感を覚えていたが、正人は何も感じてはいないようだ。
そういう男なのだ、この男は。
「こんにちは」
その先にいたのはカップルとおぼしき二人だった。
「おう」
「……」
男のほうは背が高く筋肉質で、いかにもDQNといった雰囲気だった。
その暴力性と知性の低さが、わかりやすいほどに顔に刻み込まれている。
女のほうは同じく背が高く、その上小太りで陰気なオーラを全身から漂わせていた。
ともに二十代半ばといったところか。
年齢的には私や正人とあまりかわらないようだが、どう見てもお近づきになりたくないタイプにしか見えなかった。
ここには私たち以外二組しかいないのに、二組ともどうやら普通ではないようだ。
運が悪い。
挨拶を終えて車に向かい、車から次々と荷物を引きずりおろした。
テントなどはとりあえず横にのけて、食材や調理器具、椅子やテーブルを優先させた。
夕食と明日の朝食の分さえあればいいはずの食材は、三日分はゆうにあった。
正人らしい。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます