#3 等式文って言うらしいよ
少女は、翠の言っていることに頷いて答えようとして、何か考えるような顔になっていた。しかし、翠がとにかく自分を指しながら名前を連呼していると少女も何を言いたいのか分かったようで、翠と同じように自分を指して言った。
“mi es ales.xalija. Xalijasti.”
ふむ。「ミ エス アレス シャリヤ、シャリヤスティ」と言ったな?
どうやら、名前を言っているようだが、彼女の名前がどの単語か分からない。手当たり次第に、少女を指で指して言っていくとしよう。
「シャリヤスティ?」
少女はこくこく頷いて答えた。
“ja, mi es xalija mal co es
何か長文を言われているらしいが、なぜだか明確に単語の間の区切りがしっかり頭に入ってくる。
神から貰った能力がこれと言われたらさすがに悲しいが、異世界の言語を習得していく上でこれほど分かりやすいことはない。多分、文脈から考えて自分の名前と彼女の名前を言っているのだろう。
シャリヤスティという名前の時には「ミ エス」と言っていて、俺の名前を言っている時に「ソ エス」と言っているあたり、ソが「あなた」を指していて、ミが「自分」を指しているんだろう。
となると、構文も自ずと分かってくる。
エスが英語のbe動詞のような働きをしていると考えると、英語のような単語の並び方をすればいいということが分かる。いわゆる、
さっそく、翠は口に出してみることにした。
「ミ エス 八ヶ崎翠! ソ エス シャリヤスティ!」
しかし、少女は首を横に振った。どうやら間違えているらしい。
“
うん……?
多分、シャリヤスティじゃなくて、シャリヤと言えと言っているんだろうが、よく分からない。じゃあさっきの語尾のスティは、なんだったんだろうか。
「翠スティ?」
自分を指して、言って見せる。
だが少女は依然としてそれは違う、という顔をしていた。
(スティはよく分からないから保留にするか。とりあえず、be動詞みたいな単語の使い方を確認しておこう。)
「ミ エス 八ヶ崎翠。ソ エス シャリヤ。 おーけー?」
少女は胸に手を置いて、“Ers julesn.”と答えた。
「ソ エス シャリヤ」で何回か確認してみると、どうやら肯定するときのしぐさがこれらしい。
“Salarua,
と、そんなこんなで言語を理解しようと努力していると、家の外から誰かが呼ぶ声が聞こえてきた。
当然、意味は分からないのだがシャリヤを呼び出そうとしているようであった。
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