第4話 オメガ・チーム

 デトロイトはたった三人により壊滅の危機に瀕していた。


 ベアトリクスが洗脳の魔法を駆使して街中のギャングをミュールとウォーヘッドにぶつけ、そうでなくともこの騒ぎに触発された別のギャング集団まで争いに加わり、その様相はまさしく戦争だった。


『全ユニットは即時展開。争いの鎮圧と、目標の確保を行ってください。ノヴァ、アウト』


「了解した。オメガ・1、アウト」


 あまりに争いが広がりすぎた故、警察では対処できないと判断され、とうとう特殊部隊の派遣までされるに至り、やって来たのは"PRIME"という部隊の一つ。スパイク・Aアーノルド・ブルスケルトンが率いるオメガ・チームであった。


「お嬢さん方、魔女狩りと洒落込むとしよう。うっかり殺されるなよ」


 ナノマシンから成るインナーマッスルスーツと、それに重ね着する形のアーマースーツ、通称"ネメア・アーマー"で全身を覆った彼らオメガ・チームはリーダーたるスパイクを始め、"セブンズ"、"スタン"、"ナタリア"の現在は四名から構成されている。


 スパイクの軽口に返答した三人はスーツの補助による凄まじい速力でギャングを撃退しつつ、争いの中心点に近付く。


「目標補足。なんだあれは、シルバーメッキの男がいるぞ」


「魔女二人があのヤバそうなのとチビ助だっていうなら、あのアイアンマンが確保目標じゃねえのか」


「アイアンマン? シルバーサーファーだろ……そこの三人、今すぐ戦闘を止めて投降せよ」


 セブンズがウォーヘッドの外見に対する疑問を告げると、スタンが自らの予測を言葉にした。そこに食って掛かったのはスパイクだったが、彼はその後すぐに携行したアサルトライフルを構え、ミュールら三人に呼び掛けた。


「スパイク、危ない!」


 すると突如ナタリアがスパイクへとタックルを行い、共に転がって行った。スパイクが何事かと体を起こすと、彼が今まで立っていた場所の地面が大きく抉れていた。


 ミュールとベアトリクス、二人の魔法が放たれていた。それを合図に三人はまた戦いを再開。スパイクもやむ無しとチームに発砲を許可した。

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