第20話 火打石

「じゃあ、何ができるんだね」

「あの〜、他にどんな仕事がありますか?」

「ここは見ての通り太物屋じゃ。読み書きができなきゃ、客の相手も無理じゃな。あとは掃除とか台所じゃな」

「では、台所を手伝わせてください」

「おお、飯は炊けるか。菜は作れるか?」

そんなわけで台所を手伝うことになった。

しかし、それは思いもしない苦行だった。

朝、ご飯を炊こうと火をつけた。それが間違いの元だった。新米だから一番先に起きて火をつけたのだが、持っていたマッチで火をつけたのだ。後から女中頭がきて言った。

「親、感心だこと。火打石のあるところがよくわかったね」

「あ、はい。ちょっと探しましたが(やばい。バレないかな)」

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