「あの〜。私はどうすればいいのでしょうか？」

「そうだねえ。なんにも覚えていないんじゃねえ」

「帰るところもわからんじゃろ。どうしたもんかのう」

「仕方がないから、しばらくここにいるか？」

「本当ですか？　いいんですか？」

「ところで、何ができる？　遊んでいるわけにもいかんからな」

「何がって？」

「字は書けるか？　できるなら帳面付けでもしてもらう」

「できます。できます。書けます。書けます」

「そうか。じゃあこの大福帳に今日の売り上げをつけておくれ」

「・・・・何？　これ・・・読めません。書けません」

「え。そりゃああいつは悪筆だけど、読めんことはなかろう？」

筆でかくなんて思わなかった。

ボールペンかシャーペンにしてほしいけど、無理か。

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