第16話 事故った

気を失っていたらしい。

気づくと、広い和室に寝かされていた。

どこだろうと見回していたら、人が来た。

「あら、お目覚めですか? どこか痛いところはありませんか?」

「あの、ここは?」

「ああ、ここは通町の太ものや青木屋ですよ」

「私はどうしてここに?」

「覚えていませんか? うちの表で荷車に当たったんですよ。半日ほど経ちましたが、どこか痛いところはありませんか?」

そういえばさっきから脇腹が痛い。

Tシャツをめくってみると青あざができている。

骨は大丈夫そうだ。

「まあ、ひどい打ち身ですね。お医者様を呼びましょう。その前に、この着物に着替えて」

出されたのは浴衣だった。

「下着のままじゃね。お医者様も嫌がるでしょうから」

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