白鳥絵巻

空廼紡

語り部、紐を解く

 少しだけ、お話をしましょうか。


 これから語るのは、神話となった時代の話。


 様々な困難を乗り越えて、人々から英雄と称えられた少年の話。


 今に伝わる神話とは全くとは言わないけど違う、けど確かに起きていた真実。


 伝わっている彼とは全く違うけど、たしかに英雄の元になった少年はたしかに生きていた。確かにあの時あの場所で時には怒って泣いて、でもいつも笑っていた。


 呆れるほど優しかった。感嘆するほど暖かかった。陽だまりのような微笑みを浮かべ、いつも手を差し伸べていた。


 ずっと頑なに閉じていた紐を解いて、今此処で彼のことを包み隠さず、私が知っている限りの事を話しましょう。


 さて、まずは何を語りましょうか。色々とありすぎて迷ってしまうわ。


 そうね……その英雄の幼少時代……その頃からずっと英雄の傍にいた青年がいました。


その二人がずっと一緒にいるようになった切掛け。その後は、それから数年経った後の出来事……彼が英雄になる序章のそのまた序章を。


さぁ、語りましょう。

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