ワンピースと彼女

内森

ワンピースと彼女

第1話 ワンピース男

キィ、ガチャッ…


沙和「わー、お邪魔しまーす…」


鉄朗「どうぞ、入って入ってー!

今お茶でも淹れるよー」


沙和「あ、お茶、私やろうか?」


鉄朗「いいって、お客様なんだから!

狭いけど、その辺好きに座って、

ゆっくりしててー」


沙和「わー、ありがとー…」

(本当に狭いな…)


とりあえずその辺に座って、部屋の中を見渡す沙和。


沙和(へぇー、ちゃんとキレイにしてあるけど…

ふふ、あからさまに急いで片付けた感じだなぁ。

色々はじに寄せてあるし。

あ、クローゼットから何かはみ出しちゃってるし、笑

ん…あれは…?)



鉄朗「お待たせー!」


鉄朗がお茶を淹れて居間に向き直ると、沙和は本棚の前に座って本の背表紙を凝視していた。


鉄朗「あ、何か気になる本あった?」


沙和「気になるっていうか、これ」


鉄朗「あ、マンガ…?多い、かなぁ?

でも俺、結構本もたくさん読むし!

ほら、本もいっぱい(←謎の本読むアピール)」


沙和「違うの、マンガが問題じゃないの。

…ワンピースが問題なのよ!」


鉄朗「へっ?ワンピースが、問、題…?」


沙和「こんなにたくさん…、一巻から最新刊まで揃ってるじゃない!」


鉄朗「そりゃまぁ、長いからな…」


沙和「他のマンガはまばらなのに、ワンピースだけこの揃え方…

ものすごいハマりようを感じる…


おまけによく見たら、テレビ台の上にワンピースの主要キャラのフィギュアまで、大事そうに飾ってあるじゃないの!!」


鉄朗「え…うん…それが…???」

沙和の剣幕に気圧される鉄朗。


沙和「まさかあなたが…ワンピース男だとは思わなかったわ…!」


バッグをさっと手に取って、部屋を出て行く沙和。

キィッ…バタン!




鉄朗「…………………」


(えっ、ちょっと待って…


今何が起こったの?


ワンピース男…???)

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