VRクソゲー調査団!

偽モスコ先生

プロローグ

 VR育成シミュレーションゲーム「神様になろう!」。

 神様になって宇宙を創り、惑星を創り、そこから生命を生み出すという、昔コンシューマー機で流行ったゲームの内容を、VRの仮想空間で本格的にプレイできるようにしてみようというのがコンセプトのこのゲーム。

 しかし、クソゲーであるともっぱらの噂。

 そこで俺の出番だ。

 クソゲー調査団のリーダーとして、一体どのようなゲームでどこがどうクソゲーなのか確かめてやる。


 俺たちクソゲー調査団が発行する『クソゲー新聞』はかなり好評で、最初は雑誌に記事を載せるバイトみたいなことをしてたのが、徐々に人気をあつめ、現在では新聞になり、スポンサー料だけで飯を食えるほどになった。

 それは一重に俺のクソゲーを見抜く千里眼と、どんなゲームでも遊びこなすセンス、そしてそれをうまく記事にする文章力、構成力があってこそだ。

 さあ、今回も面白い記事にしてやるぜ!


 ベッドに寝てヘッドギア型のゲーム機を装着し、ダイブ。ゲームの開始だ。


 視界が真っ白になり、ゲーム機のロゴが表示される。

 それから真っ暗になった。


「神様になろう!へようこそ!ユーザー名を入力してください」


 うっす。いつも使ってるHNの「リム」でいこう。


「神リムよ!ようこそ!これからあなたは一つの宇宙の神に赴任し、宇宙を創造していただきます!」


 スケールでかいな。了解っす。


「ビッグバンしますか? YES/NO」


 えっ、いきなり何?チュートリアルとかないの?

 ビッグバンっていうとあれか。宇宙が誕生したとかいうあれ。

 これイエスにしないと宇宙って誕生しないんだろ?あえてノーにしてみるか。

 それともあれか。昔のRPGとかでよくあったとかいう、イエスにしないと先に進まないやつか。


 でもなあ……。

 例えばさ、RPGでヒロインが「結婚する?」って聞いてくるとするじゃん。で、ノーを選んでもイエスを選ぶまで選択をやり直しさせられるとする。そんなRPGあんのかよ。まあいいや。

 そういうとき俺はさ、例えやり直しがあると思ってもノーは選ばないわけ。だってかわいそうじゃね?ノーを選んだらヒロイン傷つくだろ。泣いちゃうかもしれない。お前好きな人から結婚する?って聞かれてノーって言うの?まあ言う場合もあるな。ごめん。

 というわけでここはイエスだ。今の話する意味なかったな。


「ビッグベェン!と叫んでください」


 は?叫ぶ意味がわかんないし、ビッグバン!じゃだめなの?そんなネイティブっぽく言う必要ある?ちょっと恥ずかしいんだけど。

 でも言わなきゃ進まないみたいだしな、しょうがねえ……。


「ビ、ビッグバァン……///」

「宇宙の創造に失敗しました。ゲームを終了します」

 

 何でだよ!俺の責任重大すぎるだろ!


 それから視界がホワイトアウトし、俺の意識は現実世界へと舞い戻ってきた。

 本当に終了しちゃったよ……。何なんだこれ。確かにクソゲーだわ。

 しかしチュートリアルすら始められずに終了するとは。

 ちょい休憩して、wikiで調べてからまたトライするか……。

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